SS
曲がり角でぶつかった
なんなんだこの学校は。
ホモ?ゲイ?バイ?
普通にキモイんですけど。
てかネコ?タチ?
どうして男子校なのに所々でいちゃついてる男女がいるわけ?
つか“男女”じゃない。一人は女みたいな男だ。
無理だ。
今まで遊び呆けてた自分が全面的に悪い。
私立高校なら親父の金でどうにかなる、なんて思った自分最低だ。
頑張って公立に…………共学に行きたかった。
そういえば、寮で同室の奴が「生徒会には近づくな」って言ってたけどなんだったんだろうか?
普通の学校だったら生徒会って生徒の模範になるような奴がなるんだよな。
やっぱりこの学校は違うんだろうか。
きちんと奴の話を聞けば良かった。ホモの話が衝撃すぎて話半分に聞きすぎた。しかも同室の奴はラッキーなことに数少ない内部生上がりのノンケだ。
ここで友達になれそうな希少な存在だろう。
ドンっ
「ってぇ…………」
「大丈夫か?」
どうやらぼんやりしてたせいで誰かにぶつかってしまったみたいだった。
手を差し伸べてくれていたので、ありがたくつかまる。
「ごめんなさい。ちっとぼんやりしてまして………」
ぶつかった人はクマみたいにデカい人だった。精悍な顔つきだし、手も大きくてゴツゴツしていた。見た目からして先輩だろう。
「どこもケガしてないか?」
「はい。ありがとうございます」
顔を見上げて感謝を込めてニッコリ笑って挨拶をすると、途端に抱き上げられる体。
え、なにこれ。
「じゃ、俺の部屋にいこうな。君、外部生だよな。見ない顔だし。大丈夫。優しくする。初めてだろうし。体つきからしてネコしかできないだろうなぁ。顔は…………まぁ、平々凡々だが、なにより上目づかいが可愛いかった」
このクマ先輩は何を言ってるんだ?
俺、もしかしなくても掘られそう!?
「キモイ!キモイ!キモイ!無理!掘られるのなんてまっぴら!俺は女の子大好き!おっぱい最高!」
必死に暴れてクマ先輩が俺から手を離した隙にダッシュで逃げる。
後ろの方でなにか声が聞こえた気がしたけど、ほれそれと捕まってたまるか。
「ふぅ。新しいペットになりそうだったのになぁ。惜しい魚だ。あーあ、あっちは生徒会室の方で危ないって言ったの全く聞こえてないな」
走って走ってまだまだ走った。
クマ先輩が追ってきている気配はないようだ。
俺は少し学習した。
一応俺も身長は170はある。部活とかやってないから筋肉はあんましないけど、並みくらいはあると思う。
だけどデカい奴は危ない。
さっきなんてクマ先輩は俺を軽々抱き上げた。今まで味わったことのない恐怖だった。
トンっ
「おっと!大丈夫?」
あれ、デジャブ?
サッと危険を察知して掴まれた腕を振り払おうとぶつかった人の顔を見た。
「…………あ」
「ん?ごめんね。私もちょっとぼけっとしながら歩いてたから。えーっとみない顔だね?外部生かな」
綺麗………………。
サラサラの茶髪に桜色の唇、真っ白な肌。透き通るような切れ長の瞳に長い睫。
お、男だよな?
「ふふっ、目まん丸にしちゃって可愛いね」
チュッ
「う、うわぁ」
見とれすぎてたら途端に近づいてくる綺麗な顔。可愛いリップ音に離れた唇を見た瞬間に気がついた。
き、キスされた…………。
「『うわぁ』なんて言われたの初めてだな。くすっ、可愛いなぁ。その可愛い顔に私の精液ぶちまけたい。散々鳴かせて喘がせてガンガンにお尻を犯しちゃいたい」
流石にファーストキスじゃあないけど、こんなに柔らかい唇は初めてだった。
女の子より綺麗な男なんているんだ……………。
「面白いね。私に何言われてるかまったく耳に入ってないよこの子。おーい!聞いてるの?」
わずかに肩を揺らされて意識が戻った。
危ない危ない。トリップしてた。
「あ、えと、あなたは大丈夫ですか?」
「私?大丈夫だよ。ねぇ、君は名前はなんていうの?」
「お、俺は一年G組の赤峰サクヤです」
「サクヤ君ね。私は二年A君の生徒会副会長の湯川葵。わからないことがあったらなんでも聞いてね。サクヤ君には特別に手取り足取り腰取り助けてあげる」
「は、はい!」
この後俺はあれやこれやと葵先輩に言われるがままにアドレスを交換した。
あんな綺麗な人なら、俺……………男でも起つかも………。
最初の考えなんて吹っ飛んでしまっていた。
「どうしたんだ葵?」
「「いやにご機嫌だね」」
「んー?いいもの見つけちゃった」
これからうんと可愛がってあげるね、サクヤ君。
君は美味しく頂くよ。
黒い綺麗系副会長×普通
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