ごめん、それでも、すきなんだ
♯1〜43「日常編」
♯44〜「過去編(ヤス視点)」
♯66〜「距離編(秀介視点)」
♯87〜「閑話休題(孝臣視点)」
♯91〜「終末編(和臣視点)」
◆◇◆SBI完結◆◇◆
ご愛読ありがとうございました!
2011-12-09(金)
エンディングは幸福に
階段を登って部屋の前に人影があった。てゆーかさっきの少年がまだいた。
「あ、おかえりな……さい」
階段登る音が響いてたから、オレらの気配には気づいていたんだろう。笑顔で言いかけて、目がある一点に留まって声が小さくなっていった。
まあそーだな。男が男と手つないで歩いてたらビビるっしょ。
「お隣さん?」
「そーそー。名前はしらねーけど」
しゅーにぃもふーんとか頷いて、お隣さんは小さく体を震わせた。
「んで?どーしたの?」
「あ、お酒、落ちてたんで拾っときました」
「悪い。アリガトね」
見れば少年は重いだろーに腕に袋をさげてる。謝って受け取ってそっこーでしゅーにぃに押し付けた。
「あれ、カオ。部屋あいてんだけど」
「あー、忘れてた。つーかしゅーにぃがいきなりどっか行くからだろーが」
「あ、でも!部屋の前で守ってたんで大丈夫ですよ!誰もきませんでした」
「それで待っててくれたの?まじでごめんね、ありがとー」
「いえっ」
やべー。純朴少年いい子だ。
たぶんしゅーにぃもおんなじこと思ってるんだろーな。バツが悪そうな顔してる。
「しゅーにぃ」
「いーよ」
声かけたらそう答えて、しゅーにぃは先に部屋に入って行った。
「お隣さんさ、このあとヒマ?」
「え、ハイ、ヒマです」
「オレらと飲まない? あのバカ、ビールしか買ってないからビールしかないけど」
「あ……でも……」
狼狽える少年はどんな計算をしてるだろーか。しらねーけど、それでも少ししてしっかり頷いた。
「お邪魔します」
「どーぞ。少年のとこはちゃんと鍵閉めて来いよー」
「忘れてた!」
わたわたしながらポッケの鍵を探してる少年に自然に頬が緩む。おっさんかっつーの。
「すいません!お待たせしました!」
「おー。どーぞー」
「お邪魔します」
ドアを開けて招き入れると、どーやらしゅーにぃは風呂に入っているみたいだ。まぁ昨日から入ってねーしな。
少年はきっちり靴を揃えて部屋に上がると、目を丸くした。そりゃそーか。そんなに広くない部屋にダブルベッドあるし。
「あの……一人暮らし、じゃ」
「ないね。あいつと住んでんだ」
「へ、へぇ!」
「まあアイツ、基本昼夜逆転してるからあんまり会わないと思うけど」
「そーなん、すか」
「そーそー。な、しゅーにぃ」
「まーね」
「!」
シャワー浴びて腰タオルで冷蔵庫漁ってるしゅーにぃにびっくりして少年が飛び上がった。かわいそーに。
「少年、お隣さんなんだって?」
「ハイ!」
「どっち隣かはしらねーけど、どーせならベッドはオレらの部屋の壁よりにすんな」
「ハイ?」
「オレらヤるとき激しいからさー、ギシアン的なの聞きたくなかったら壁から離れとけ」
「しゅーにぃ」
頭にハテナを浮かべてた少年は、だんだんと意味を理解したのか顔を真っ赤にしている。
完全にからかって楽しんでるしゅーにぃを咎めてスウェットを投げたらおとなしく受け取った。
「ま、でも知っといたほーがいーかもね。オレら、付き合ってんだ」
「お前な、カオに手出したら殺すからな」
「しゅーにぃ、威嚇すんなよ」
「威嚇じゃなくてね、牽制だからね!」
「ハイハイ。あれ、少年?だいじょーぶ?」
オーバーヒートしたのか、混乱中なのか。ほけーっとする少年に声をかける。自分でも自分の顔がニヤリとゆがむのがわかった。
「で、コイツに惚れないでね。いくらイケメンでもオンナに勃たねークズだから」
「おい!リアルゲイ扱いすんなっていつも言ってんだろ!?」
「ひいいいっ」
「あはは!」
ついに引きつった悲鳴をあげてオレの後ろに隠れた少年をかばいながら笑った。んで実感してた。幸せだって。
#99「エンディングは幸福に」
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