ごめん、それでも、すきなんだ
♯1〜43「日常編」
♯44〜「過去編(ヤス視点)」
♯66〜「距離編(秀介視点)」
♯87〜「閑話休題(孝臣視点)」
♯91〜「終末編(和臣視点)」
◆◇◆SBI完結◆◇◆
ご愛読ありがとうございました!
2011-12-06(火)
かわいい
「ヒデさん!? なにしてんすか!」
心底びっくり!という声がきこえて、しゅーにぃの肩越しにその人を見た。
あからさまにホストな髪型の、ちょっとビジュアル系入ってる子が、心底びっくり!という顔でそこにいた。
そりゃそーか。店のNo2の男が男押し倒してんだもんな。びっくりもするよな。
「チッ、なんだよ」
「いや、あの……すいません。ミオンさんが呼んでます、けど」
「いかねー」
男の登場に一気に機嫌悪くなったしゅーにぃはオレの上から退くと、オレの体も起こしてくれた。
さっきみたいにふわふわのソファに浅く腰掛けて足組んで、すげー偉そうな態度取ってたらしゅーにぃがオレの目をじっと見つめてきた。
目を見つめて、それから、頭のてっぺんから足先まで、しゅーにぃの視線が動いて行く。なんだよ。
「なに?」
「いや、……」
「なんだよ」
「……、カオに、会えたなーって、思って」
そう言ってはにかんだしゅーにぃに、心臓爆発するところだった。ふいうちだ。ズルい。
「会いたかった?」
「当たり前だろ」
即答すんなよ、バカ。可愛くて可愛くて仕方ねーな。
憮然と答えるその顔が可愛すぎて、ちょっと耐えきれない。
「ふっ……」
思わず笑ってしまうと、わかりやすくしゅーにぃの眉間にシワがよった。やべ、機嫌損ねちまった。
「オレも。会いたかったよ、しゅーにぃに。すげー会いたかった」
微笑んでやろう。オマケだ。
意識して口角をあげて言ってやったら、しゅーにぃは一瞬ぽかーんとして、それからすぐに嬉しそうに笑った。はいはい、かわいーかわいー。
「あ、あ、あの!ほんとすいません!ヒデさん、酒、なんにしますか!?」
忘れてた。
後ろに控えてたホストくんが心底申し訳なさそうに声をかけてきて、しゅーにぃはまたあからさまな舌打ちをした。
「焼酎とウーロン」
「ハイ!」
「あとミヤビ、オレ、コイツが帰るまでここ動かねーから言っとけ。ヘルプもいらねー」
「ハイ」
ミヤビくんっていうのか。いかにもーって感じだ。
思わず視線で彼を追ってしまったらしい。パッと写り込んできたしゅーにぃはひどくご機嫌斜めだった。
「なに」
「久しぶりじゃん、会うの」
「まあ」
「あんま他見んなよ」
「……ぶっ」
やっべ、まじで耐えきれなかった。なんなの。なんでこいつこんなかわいーわけ?
「おい!」
「よしよし」
「くっ」
怒った顔しておい!とか言うしゅーにぃを子供扱いしてやった。頭撫でてやったら、なんか大人しくなった。
「かわいーなー」
「まじ?じゃあもっと可愛くなるから他のやつなんて見んなよ」
ぎゅっと抱きついてきたしゅーにぃが、オレの首に顔をうずめた。無駄にでかい図体が視界から消えたと同時に、ミヤビくんの困り顔が飛び込んでくる。
「しゅーにぃ」
肩をタップしてやれば、気づいて体を離す。しっかりミヤビくんに聞こえるように舌打ちを忘れないあたり、まじで可愛くてやんなるわ。
#96「かわいい」
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