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ごめん、それでも、すきなんだ


♯1〜43「日常編」
♯44〜「過去編(ヤス視点)」
♯66〜「距離編(秀介視点)」
♯87〜「閑話休題(孝臣視点)」
♯91〜「終末編(和臣視点)」

◆◇◆SBI完結◆◇◆
ご愛読ありがとうございました!
2011-12-04(日)
バカなのは誰ですか

 グレイシアってゆーホストクラブのヒデについて調べたら、ホストの専用掲示板みたいなとこで全力で叩かれてた。
 女のことホテルに連れ込むわりに勃ったり勃たなかったり。ホテル代は全部女持ち。店では頭良さげなイケメンぶってんけど、優しいだけじゃね?みたいな。

「バカだなぁ……」

 ただしすげーイケメンで、ちやほやするのがうまいらしい。指名客は多くて、金のないやつには無理をさせない。
 でも、金のあるやつには、とことん出させる。
 そうやって失敗したらしい。櫻さんが噂として教えてくれたのは、たぶん本当。

 掲示板の情報を探っていくと、なんとなく想像のつくヒデの借金額は数百万円。さすがにオレではフォローしきれない。
 いつかしゅーにぃを養って、ずっと飼えるようにしたいと貯めていたのは百万ちょっとだし。それじゃヒデの作った借金の半分になるかどうか。

 考えて考えて、こーゆーときは金持ちにたかろうと思いつくあたり、思考がクズだな、オレも。
 そうして南に連絡してみるものの、ふざけんなと一蹴された。まあそーだな。
 じゃあ次どーすっか、と考えてたら、ぷちっとキレた。なんかもう、考えるのめんどくせぇ。

 銀行で数回に分けて貯金額全額を引き落として紙袋に入れて、とある駅に降りた。それから川沿いを歩いて橋を渡ると、いつかしゅーにぃが女と消えて行ったホテルがある。
 その近くのビルの5階に、看板があった。ホストクラブ、グレイシア。
 エレベーターを呼んで、5のボタンを押して、開いた扉に、オレはつぶやいていた。無意識に。

「バカだなぁ……」

 5階で出迎えてくれたのは、No2とかかれた額縁の中で営業スマイルを浮かべたバカだった。



#94「バカなのは誰ですか」
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