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ごめん、それでも、すきなんだ


♯1〜43「日常編」
♯44〜「過去編(ヤス視点)」
♯66〜「距離編(秀介視点)」
♯87〜「閑話休題(孝臣視点)」
♯91〜「終末編(和臣視点)」

◆◇◆SBI完結◆◇◆
ご愛読ありがとうございました!
2011-11-29(火)
失恋は、ずっと前から何度もしてきた


 秀介に連絡を取る気はさらさらなかったが、まさかヤスとも連絡が途絶えるとは思わなかった。
 あの日からすべてのメール、電話は無視された。留守電にどんなメッセージを吹き込もうとも無視された。
 これだからあの兄弟は嫌になる。そろそろ本気で家に乗り込んでやろうかと考えた数ヶ月後、ふいにヤスから連絡がきた。これだからあの兄弟は本当に嫌になる。

「……、まじかよ」

 指定されたのは、あの日話をしたあのカフェだった。約束の時間ピッタリに店に入ると、見渡した先にはヤスがいた。その隣には女もいた。
 ぽっちゃりという言葉がぴったり当てはまる。美人よりかわいいより愛嬌というところか。

「あ、タカ!」

 笑顔で手を上げるヤスに、嫌な予感しかしない。帰りたくて仕方ない。
 無表情はオレのデフォルトだ。苛立ちを感じさせるわけにはいかない。

「はじめましてっ」

 席を立って頭を下げてきた女に愛想笑いを浮かべて、チラリとヤスに目をやる。ヤスはバツが悪そうに頭を掻くと、笑いやがった。

「……ガキができた」

 驚くよりもため息が出そうだった。涙が出るよりも頭を抱えたかった。最低だ。あのバカを今この手で殺したくて仕方ない。


#89「失恋は、ずっと前から何度もしてきた」
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