ごめん、それでも、すきなんだ
♯1〜43「日常編」
♯44〜「過去編(ヤス視点)」
♯66〜「距離編(秀介視点)」
♯87〜「閑話休題(孝臣視点)」
♯91〜「終末編(和臣視点)」
◆◇◆SBI完結◆◇◆
ご愛読ありがとうございました!
2011-11-25(金)
落ちゆく
そんな腐った毎日の中で、いつものようにカオの部屋へ行った。
今日は現場で監督とかしてるオッサンに怒鳴られてむしゃくしゃしてて、カオの顔見なきゃやってられなかった。ついでに疲れてムラムラしてるのも解消できるし。
そう思って、いつもどおり3回チャイムを鳴らした。けれど、
「あれ?なんで……ッ!!」
ドアから現れたのはすげえ目をしたタカにぃだった。そんで、思いっきり殴り飛ばされた。
ちょっと長めの髪を後ろに流してセットしたエリートサラリーマンのくせに、こいつは昔ヤスとふたりでヤンチャしてたからな。喧嘩上等なのは変わりないらしい。
じゃねーよ。なに殴られてんだいきなり。
「……お前がいくらゴミでもクズでも、ここまで落ちてるとはな」
「なに?」
「二度とカズに構うな。この家は引き払った。会社は変わりないが、そこに顔出してみろ。殺すからな」
「なんだよ、それ」
「和臣はもう限界なんだよ。オレもお前を許せない。二度と、現れるな」
そう言って目の前で閉められたドアに、某然とする以外なかった。殴られた頬だけがじんじんと熱を持って痛む。
混乱する頭でポケットからケータイ出して、リダイアルから消えたカオの名前をアドレス帳から引っ張り出す。けれど、耳につけた電話機から聞こえたのは、着信拒否を知らせる電子メッセージだった。
泣くことは、できなかった。
許されるはずもない。
「ハハ……」
乾いた笑いだけが小さく響いて、すぐに消え失せた。
#85「落ちゆく」
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