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日記
2014-12-14(日)
お前が昔、布団に世界地図描いた時の記念写真とかね

教室の扉を開けた瞬間に集中したクラスメイトの視線に、俺は今年も、新しいクラスでの友達作りは無理なんだなと絶望した。

「……何してんの、海」

教室のど真ん中に集まる生徒達の中心で爽やかな笑顔を振りまく幼馴染に声をかければ、俺を見つけた海の栗色の癖毛が、サラサラと光った。
小首を傾げる美少年の手には、写真らしきものが写っているスマホ。

「部屋掃除してたら昔の写真とか出てきたから、保存して持って来たんだ」
「……誰の写真?」
「お前が昔、布団に世界地図描いた時の記念写真とかね。おばさんに叱られて鼻水垂れ流してるのとか」

おい馬鹿ヤメロ。
色々と披露した後なのだろう。海の言葉と同時に周囲の生徒達は一斉に笑う……これで今年の俺のあだ名は『世界地図』か『画伯』に決定だな。
誰が見ても横柄な態度で「ごめん巳継、怒んないでよ」とわざとらしく俺に近付く海の意図を、すでに出来あがっている取り巻きの何人が理解しただろうか。

「別に、怒ってねーよ」
「ほんと?なら良かった。巳継、去年は『便所虫』とか呼ばれてたもんね。俺の所為で今年もまた酷いあだ名がついたらとおもうと心配だよー」
「便所虫って!」「うけるー」「えー可哀想だよぉ。今年はもっとマシなのにしてあげなよー」

ドッと教室が沸いた。
「やめてやってよぉー」と心にもない注意を促す海を見ていると、心臓の奥が芯から冷めていく。
ちょっとだけカンの良い取り巻きは明日から俺に目立たない嫌がらせをするだろうし、本当に聡いヤツは俺達に関わろうとしないだろう。

*****

「巳継、ね、怒ってる…?」
「……ぅ」
「ごめんね?でもその分俺が一杯一緒にいるし、いいよね?こんな風に巳継を可愛がるのは、俺だけで、いいよな?」
「ぅ、あっ!」

ぐり、と奥を突かれた衝撃で腰が跳ねた。
俺の反応に気を良くした海の手が膝裏を掴み、持ち上げられた下半身を更に強く責める。体重をかけるようにして行われる挿入は、俺の苦手な体位のひとつだ。

「ヤ、あ、海、深い…ふか、ゃっ」
「巳継。いいよ、こうすると入口が締まって、奥が、もっとって俺をギュウギュウしてくるっ」
「ァ、あ、ア、ア!」

一番深い場所で、海が欲望をぶちまける。熱い塊が押し込められる衝撃で、触れられていない俺自身も逐情した。それを見た海が嬉しそうに残り全部を中に出しきり、小さく揺すられるたびに痺れる俺の身体は、壊れた玩具のようだった。


海は、小学4年生の時に同じマンションに越してきた幼馴染だ。
愛想がよくて明るくてなにより幼い頃から今に至るまで崩れることなく成長した容姿で、海は昔から周囲を魅了してきた。そんな幼馴染が慕ってくれる事が誇らしかったはずなのに、歪に変化していったのは何時からだったのだろう…

「巳継、巳継、全部……俺のだよね」

抱き締められながら囁かれる言葉は、どこか悲しい。
海を、すきだった。
友情だったのか、恋だったのか、愛だったのか。答えを知る前に、あの頃の淡い想いは霧散した。

「巳継」

甘い声が、子守唄のように背筋を撫でる。
応える事は出来なくて、寝たふりをしようとそっと目を閉じた。

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