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2009-11-24(火)

【競馬】京都は引退の涙雨

京都、淀。

冬の訪れを告げる肌寒さ
小雨が、冷たく頬を打つ。

あ、どうも。私、
カンパニーと言います。

実は今日のレース、私の
最後のレースなんです…
これで引退するんですよ。

私は中央競馬の競走馬として
2004年１月デビューしました。

私の世代の同期の馬は
ダイワメジャーとか
キングカメハメハです。

デビュー戦で勝ちまして
いきなり、きさらぎ賞に
挑戦しますが７着でした。
ちょっと、無茶でしたね。

それでも、コツコツと
頑張って、ＧＩに挑戦
出来る様になりました。

■菊花賞　(GI)　９着。
■安田記念(GI)　５着。

ＧＩは厳しかったですが
そんな中、京阪杯(G3)で
初めて重賞を勝ちました。
翌年は産経大阪杯(G2)も
勢いにのって勝ちました。

自信が出てきました。
やれるんじゃないか
…っていうふうにね。

■安田記念(GI)　11着
■宝塚記念(GI)　５着
■天皇賞・秋(GI)16着

でもＧＩは厳しかった…
特にディープインパクト
という後輩には、とても
勝てる気はしなかった…

翌年夏、鮮やかに直一気
関屋記念(G3)を快勝です。
あれは、気持ちよかった。

■天皇賞・秋(GI)３着
■マイルＣＳ(GI)５着

天皇賞は不利がなければ
勝てたかも知れませんが
依然、善戦しか出来ずに
もどかしさが募りました。

翌年、マイラーズＣ(G2)
中山記念(G2)と重賞連勝。
やれそうな予感しました。

■宝塚記念(GI)　８着
■天皇賞・秋(GI)４着
■マイルＣＳ(GI)４着

前哨戦は勝つんですよね…。
本番のＧＩは勝てなくって
そんな印象が定着しました。

そして、今年。
中山記念(G2)勝ちました。
もう８歳なんですけどね。

■安田記念(GI)　４着
■宝塚記念(GI)　４着

しかし…

しかし、私の人生に
転機が訪れたのです。

毎日王冠(G2)で、あの
女王ウオッカちゃんに
勝ってしまったんです。

コツコツと自分なりに
頑張ってきた、甲斐が
あったというもんです。

しかも。なんと、前哨戦
だけでなかったんですよ。

■天皇賞・秋(GI)１着

ついに、やったんです！
悲願のＧＩ制覇でした。

夢にまで見たＧＩ制覇。
しかも、ウオッカとか
スクリーンヒーローや
かなり強いメンバーを
相手にしてですよ、私
涙出そうになりました。

「おめでとう！」

ファンの声援が聞こえて
私、どうしていいかが
分からず戸惑いましたよ。
いつもは脇役のこの私が
主役になりましたからね。

横山典弘騎手は、私の
「おじさんパワー」と
表現してはりましたね。

で、今日ラストランです。

さきほどのレースで、私は
引退して、種牡馬になると
いう事が決まったんですよ。

■マイルＣＳ(GI)１着

見ていただいてました？
今日は完勝でしたよね！
有終の美ってやつですか。

そりゃあ、ウオッカも
ディープインパクトも
ハーツクライも、誰も
いなかったですからね。

キッチリ、引退の花道を
飾らせていただけました。

「カンパニーありがとう」
「お疲れさまカンパニー」
「変わった名馬だな！
　元気でやれよぉ！！」
「カンパニーばいばい！」
「今日は、お前さんで
　稼がせてもろたでー」
「久しぶりに感動したぞ」
「勇気をもらったよ！！
　ありがとなカンパニー」
「いいもの見せて貰った」

温かいファンの掛け声
それは嬉しかったです。

真面目に頑張りつづけると
いいこともあるもんですね。

気が付けば重賞９勝。
９億円稼いでました。
コツコツ自分なりに
頑張って馬主孝行が
出来たと思いますよ。

「お疲れさま」
「ありがとね」
「頑張ったね」

ポンと肩を撫でられました。

なんか、ジーンとしました。
頑張ってきてよかったなと。

おぉ、そろそろ
お迎えがきたようです。

気が付くと夕暮れでした。
冷たい雨空のしただから
こんな時間になってたと
全く気付きませんでした。

私の、思い出の淀
競走生活の終着点
淀、京都競馬場も
これでお別れです。

二度と、人生でこの地に
戻ることはないというと
感慨深く、淋しいですね。

「お疲れさま」
私を世話してくれた
音無秀孝調教師さん。

「今まで長い競争馬生活
　本当にお疲れ様でした！
　長生きして下さいね。」

先生、６年もの間本当に
ありがとうございました。
今まで、世話してくれて
ありがとうございました。

これから、北海道で
私は種牡馬になって
いい子送り出します。

だから、私の子供達も
よろしくお願いします。

京都には、相変わらず
小雨が落ちていました。

涙は雨に流れていきました…

おわり