事件が起きたのは、注文して置いたハル好みのお菓子セットをあげるため部屋に呼んだときのことだった。ぼくはベルと口喧嘩からケンカになってもそのことをすっかり忘れていた。ぼくとしたことが情けない。思い出したのはケンカの終盤だった。 慌てて部屋に向かい謝罪の言葉と共にドアを開けた。ハルはぽかんと床に座っていた。いやぽかんとしていたかはわからない。後姿だったから。 「ハル・・・」 「・・・・」 応答はなかった。 怒っているのだろうか泣いているのだろうか。 それとも何かあったのだろうか。 「ハル!」 ハルの横顔を覗くと真っ赤だった。耳まで。 この部屋は暑いのだろうか、それとも熱でもあるのだろうか。 「だ、い・・丈夫?」 「・・マーモンちゃん」 ハルはやっと口を開いてくれた。 安心してふうと息をつくとハルが何かを持っているのに気がついた。それは紙、いや写真だった。 「ハルは・・・ ハルは恋に落ちました」 「・・・・」 とろんとした目で見つめた先は 写真。 ぼくの本来の姿が写った、写真だった。 |