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日記(仮)
2019-12-10(火)
書きかけ

人の動く気配で目が覚めた。仄暗い部屋の中で、服を着る貴方が見える。
その様子を私は気づかれないようにこっそり盗み見る。普段テレビ番組やライブではガサツに振る舞ってみせるけど、本当は所作が丁寧で見ていてうっとりしてしまうのだ。シャツの袖に通す動きとか、襟を正す指先のまとまりとか、彼の落ち着いた呼吸が聞こえてきそうなぐらいなんだけど、見ている私は息が止まってしまいそうになる。
彼がジャケットを着て、ふと私の方を振り返る。急いで寝た振りをする。そう、着替えが終わると帰る前に私の頬や頭を撫でるのだ。壊れ物を扱うような手つきで優しく。
私はこの時間がとても好きなんだ。
いつも忙しいから、たまに夜中に帰ってくるその度に飽きずに肌を重ねる。世間では人気バンドの彼が私とセックスしている、その事実が未だに受け入れられないし、その彼が私のことを好きでいてくれることも実はまだ受け入れられていない。
私なんか平々凡々な女性だ。見た目も中身も普通だし、身に付けている服もファストファッションだし、たまの外食もファミレスだし。
彼の周りには本当の美人がいっぱいいるはずなんだ。その中にも性格が良い人なんていっぱいいるわけで、なんで私なんかを、と毎度思考がループしてしまう。
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