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ごみごみしようよ
2011-10-11(火)
カゲロウデイズ(ジュンヒカ)

「こんな暑い日によく外に出る気になるよな」
「暑いのは別に。でもまあ、夏は嫌いかな」

この暑い中公園に行きたいと言ったのはヒカリなのに、なぜか当の本人は少し不機嫌そうだった。ジュンがため息をつくと、ヒカリが撫でている猫が小さく鳴いた。
ジリジリと焼き付ける日差し、耳障りな蝉の鳴き声。帰りはアイスでも食べて行こうか。ジュンがそう声をかけたときにはもうヒカリの姿がなく。
慌てて辺りを見回すと、猫を追いかけて公園の外に走っていくヒカリの後ろ姿があった。
嫌な予感がしていた。そう、嫌な予感がしていたのだ。この公園に来たときから、いや、朝目が覚めたときから、全てにおいて今日という日は嫌な感じだった。
だからヒカリの背中を追いかけて、車道に飛び出したヒカリと赤になった歩行者用の信号機を見たときジュンは一瞬やっぱり。と思ってしまった。
走ってきたトラックのタイヤに引きずられたヒカリ。嫌な音、赤、赤、赤。
何もなかったかのように蝉が鳴いている。吐き気がする。ぐちゃぐちゃになったそれはヒカリではなかった。ヒカリだと思いたくなかった。そう思おうとすることだって、ジュンにはできなかった。ヒカリはもしかしたら歩道を渡りきっているのかもしれない。クラクラする。考えることができない。何も、何も。
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