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ごみごみしようよ
2011-12-17(土)
こんなのを書きたいこのごろです

いつからだろうか、道行く人の笑顔を想像しながら生きるようになったのは。
ひまわりが嫌というほど咲き乱れている。狂いそうになる青空と、ひまわりの黄色が混ざって、僕は逃げたくなる。何から逃げたいのかはわからないけど、そんなこと以上に、この場所にいるのは耐えられないからただ走る。出口はなく、ずっとひまわり畑の中を走りまわる幼い僕は、泣きたい。でも泣けない。涙を流すことができず、苦しみ、叫びながら走り続ける。青空はあざ笑うようにずっとそこにあって、ひまわりは途切れることがなく。
「死ね!死ね!!」
かけられた罵声で不意に目が覚めた。氷の入った冷水が浴びせられたらしい。びしょびしょになっている髪と顔と服。わざわざ氷を入れるなんて面倒なことをするな、と思いながら髪についた氷のかけらを取る。暗くてよく見えないけれど、三人の男に囲まれている。頭が痛い。多分、殴られて軽度の脳震盪でも起こしたんだろう。
「なんで」
「は?」
「なんで死ねって言うんだよ」
死ねを連呼していた男が拳を振り上げたらしく、ヒュッと空気を裂く音がした。さすがにもう一回気絶するのはごめんだったから転がってそれを避けた。
泣きながらごめんなさいと媚びてもいいけれど、一回激昂させた相手を静めるには適さない。ここはもう怒らせるだけ怒らせて、隙を作って逃げるしかない。この空間に逃げ道なんてものが存在するのかどうかすらわからないけれど、三人がまるで素人のようで、ほっとする。縛られてもいないし、未だナイフや拳銃を出して脅してこないということは所持していないか、臆病者なのか。
「生意気なことすんじゃねえ!!」
「だって痛みを甘受できるほどマゾじゃないし」
「お前ぇ!」
そこで聞こえたのは、チャイムだった。耳を疑ったけれど、まぎれもなくチャイムだった。そんなものは小学生のときに少し聞いたことがあるだけで、まるで信じられなかった。空耳だとしても、学校のチャイムだなんて趣味が悪すぎる。
「今度会ったら覚えてろよ!」
そんなありきたりすぎて寒気のする捨て台詞を残して鍵のかかっていないドアがガラリと開かれた。曇り空のおかげで眩しさに目を閉じずにすんだ。去っていく男のサラサラとした茶色の髪と学校の制服らしいものが見えて、ただのチンピラに殴られて脳震盪なんかを起こした自分が情けなくなる。改めて自分の周りを見てみれば、マットやらカゴに入った大量のボール。嫌な予感がして後ろを振り返ると、跳び箱があって。
「死ねっていうなら殺して煮るなり焼くなり好きにすればいいだろうが」
そんならしくもない弱音をはいてしまうくらいに、オレの精神は参っていたのだ。
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