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memo

なんかひとりごと言ったりしてます。
兼、時々更新履歴です。いつも忘れます。

2011-11-02(水)
2006年の若干暗めBL

以下、メモ帳のまんまです。
なので誤字とかよく解らない所も放置!/(^o^)\



くだらないこの世界に、サヨナラしよう。


―――

Happy ×× planning

―――


黒い服、陰鬱な雰囲気。
煙草とは違った、その場を出ても付きまとう煙の匂い。

彼が居なくなってから、3日が経った。

最期の最後までずっと一緒で、
目の前で計画実行しやがった。
『忘れないで』なんて言ってたけど、忘れられる訳ないじゃんか。

アイツはずるい。それも計画の内だなんて。



「残される方の身にもなってみろよ…」
そう呟いていると、いきなり背中から誰かが抱きついてきた。

小さな子供ほどの重ささえなくて、だけど確かに、首に腕が回されている感触がある。

「だって、しょうがないじゃん?」
聞き覚えのある語尾上げ口調に首を斜め後に傾けると、
一昨日、箱の中に入っていた笑顔と同じものがソコにあった。


「なんでお前がここに居るんだよ!死んだだろおい。骨になっただろ!」
「あ、やっぱ見えるんだ?」
他の人は誰も気付いてくれなかったのに〜と、腕を首に巻きつけたまま言う彼は、
確かに俺の目の前で死んだはずだ。もう会えないはずだ。
なのにどうしてこう、いつもと変わらないように笑っているんだろう。

「四十九日かなぁ?」
「なら、自分の家うろついてろよ」
ここはもう、俺の家への帰り道だ。

「家なんて、あってないようなものだったじゃん」
彼は、2週間に一度、自宅に帰ればいい方だった。

「それに、どうせ誰にも見えないみたいだし?」
しょうがないから、生きていた頃と同じように、一緒に帰る事にした。


結構人通りの多い通りを歩いていく。
死んだはずの彼がずっと俺の首に抱きついているのに誰も気にとめない。
足元を見ると、彼の足は地についていないのに。
それどころか時々思いっきり足を後にのばしたりしている。
どれだけジタバタしても、誰にもぶつからない。

本当に彼は誰にも見えないらしい。
『死んでる』ことは、間違いない。



家に帰ってからは、今までの思い出話やら、くだらない話やらを只管喋り続けた。
じゃないと、俺にまで彼が見えなくなってしまいそうだったから。

「生まれ変わったらさ、女に生まれるか同性結婚の認められてる国に生まれたいなぁ」
いつの間にか俺たちは酒盛りをしていた。
微妙に浮いてソファーに座っている彼の顔は微妙に赤くて、
幽霊でも酔っ払うらしいことが解った。
「人間に生まれ変わるのって6分の1じゃなかったか?」
確か六道とかそんな感じのがあった気がする。

「君に愛着持ってるから大丈夫だよ?」
「でも俺、中身お前でもロリコンはヤダよ?」
今から生まれ変わられても、ずいぶんと年の差がある。
「じゃあ男ならいい?俺、生まれ変わるの男がいいし」
「ショタコンもやだ」
そう答えると、彼は少し考えるような仕草をして、言った。

「でも、その頃にはきっと、今よりも年の差結婚が?」
「少子化だし、数は大して変わらないと思うけど。
 ってか例えお前が同性婚OKの国に生まれたとしても俺日本在住だし」
というかコイツは、急に何を言い出すんだ。

「じゃあ、君が死んで生まれ変わる頃まで待って、
 俺はまた死んで、もう1回生まれるよ」
そしたら年の差がないじゃん?と、彼は笑った。

「そんなホイホイと死んだら遺族に迷惑だろ」
「けど、早く会いたいし。49日って短いじゃんねぇ?」
あと1ヵ月と少しで、彼は本当にいなくなるんだ。

「でも俺は長寿世界一目指すから。そんなに待ってられないだろ?」
そんなにサッサと死ぬ予定なんて、俺にはない。
生まれ変わってもまた会えるなんて、決まってもいない事にかける気も無い。

「わかんないよ?俺結構、我慢強いし、それに不慮の事故とかあるし?」
不幸は続くものだとかいうけれど、縁起の悪いことを言わないでほしい。


「つか、何でお前死のうと思ったわけ?」
自分が家に帰らないだけで、家族仲は悪くないはずだ。
別に困るようなことも、悩んでることもないと思う。
そんなのがあったら、俺に泣きついてるはずだから。

「なんでかな、ホント、自分でも分かんないや」
首を傾けて彼は言った。
それならなんで、死ぬ必要があったんだよ。
しかも、俺の目の前で。


「なんかさ、これから先どうなるかとか、全然わかんないじゃん?
 それならせめて、君が俺のことを忘れないのが一番いいかなとか思っちゃったわけでね。
 なら目の前で死んじゃったらどうだろうとか思ったわけなんだ。多分」
どうしてそう、簡単に実行しちゃうんだか。
人の気持ちなんて、そうそう解るもんじゃないなぁ。


「お前はバカだろ」
そうとしか思えない。

「うん、そうだね。生きてる方が傍にいれるのに、ホント俺ってバカだね」
彼は、買いたい物があって遠くまで買い物に行って、
何も買わずに帰ってきて、その事に家につく頃に気付くような奴だった。
無駄な事ばっかりやって、『何考えてるのか解らない』と言われてる事が度々あった。


「49日ってホント短いよねぇ。あ、ちゃんと供養よろしくね?」
「そういうのは家族に頼めよ」
墓のある場所とか知らないし。


「生まれ変わっても君の事は忘れないつもりだからさ、その辺は心配しないでね。
 俺だと思ったら遠慮なく話しかけてね?」
甘い言葉囁いちゃってもおっけーだよ?とか言っちゃって。
「つもりかよ。しかも幼女とか少年なんか口説いててたら、俺ただの変態じゃん」

「すでに手遅れだよ。今だって、なんにもない所に向かって、
 もう死んだ奴相手に会話してるんだから。充分いかれてるよ?」
その死んだ奴が言えた事か。

「とにかく俺は、四十九日が終わったら一旦生まれ変わってきます。おーけー?」
「何がOKだ、何が」
人の気も知らないで。


「でもさ、少し残念だったよ?」
何が?と、尋ねる。

「ちょっとぐらい泣いてくれたっていいじゃん?
 なのに君ってばさ、馬鹿アホって、怒ってしかいなかったんだもん」
そう言って彼は苦笑いした。
「人にトラウマ残しやがって、おまけに3日後にそうやって笑ってるお前が言うな!」
トラウマなっちゃったかーと、今度は満面の笑みを浮かべた。
「でもそしたら俺のこと忘れたくても忘れられないね。よかった」
まぁ残りの時間はヨロシクやろうか。と、彼は言った。
本当に、俺も彼のことが解らないが、向こうはもっと、俺の事なんか解ってない。



それから大体46日間。
長いのか短いのかよくわからない時間だ。
いや、やっぱり短い。短すぎると思う。

また、黒い服だ。
少々首が苦しい。

写真の中の奴は見慣れた顔で笑ってて、
帰ったら1人になるのに、少しだけ、期待してしまう。

いっそ忘れられたらいいのに、と思う。




ガチャリ、とドアノブが回る。
もう、家の鍵を持っているのは自分だけなのに。

「なんで、お前、ここに居んの?」

部屋の中には、お帰り、と写真と同じ顔で笑っている奴がいた。

「君が死ぬまで多分こうなんだと思う。とり憑くって言うの?」
嬉しそうに、彼は笑ってた。

生きてても死んでても、何か全然変わらないな、と思った。


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