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あなたへの愛でこの両手は塞がってしまった


2011-12-11(日)
ハーフムーンクラッシュハインド


あ…消えた。
呟いた言葉と共に吐き出された二酸化炭素が色を成して宙に舞う。舞って登ってそして暗闇に溶け込んでいった。そう言えば今日は天気が良いから夜空が綺麗ですね。言えば今度は自分の吐息が白く濁って身体に馴染んだ葉っぱの香りと共に闇へ溶けた。
月が綺麗だね。
今夜は月が綺麗ですね。
意図して呟いた言葉が二酸化炭素化。なんてベタなんだろうと小さなベランダで笑ったら隣の君が唇を尖られて照れるから、押入れから引っ張り出してきたブランケットで包んであげる。
うわ…あったけえ…。
ちょっと崩れた日本語でやっぱり君は照れ笑いをするから柄にも無くこっちもほっこり、胸が暖かくなった。
小さなベランダで真冬3度の冷え込んだ夜に夜空を見上げながら君はホットチョコレイトを、そして僕はブラックコーヒーを飲む。
二人でブランケットに包まって肩と肩をくっつけて消えて行く月を見る。消えて行くね、ボソリと零れた言葉が少しだけ冷たかったからこのまま冷え切ってしまわない様に体制を変えてみる。後ろに回って足で挟んで背後からすっぽり君を包み込む。
あ、背中あったかい。
笑った君が暖かくてつられて笑ってシャンプーの香りが残る髪にキスを。うわ…柄じゃないなあ…。なんて思ったら冷えた風が責める様にピュウと吹いた。君の体温が奪われていく事に危惧する。

「くすぐってえ」
「シャンプーの香りがするね。」
「風呂上がりだし」
「一緒に入りたかったのに」
「ばかかハードル上げんなばーか」

酷く照れ屋な君だからなんだか僕まで照れ屋になっちゃった気がするんです。言えばきっと君はまた照れ笑いするに違いないね。

「あ…出てきた…」
「ほんとだ…」
「きれい…だなあ…なんか…こう…宇宙が見える気しねえ?切り抜いたみてえ」

ポエムちっくなメロウを刻むから君だって今日は少し柄じゃない事ばかり。
ホウ、吐き出した息はやっぱり色を含んでいたから今日は柄じゃない事ばかりしてみようと赤に染まった耳へキスを贈って声を植え付けた。

「今夜は月が、綺麗だね。一護さん」
「う?ああ…うん。綺麗だなあ」

案の定、気付いていない君に声を押し殺して笑った。















ベタなセリフでもって冬の寒さと手繋ぎ


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