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心の臓に触れた棘
2010-12-06(月)
No music no life 6


わあ!キラキラきれい!と子供の目は雄弁に語り尚且つ口にも出して言ってたが、対照的にこちらの瞳は「うわあ何このテンション高いヤツ」と雄弁に語っていた。

「えーっと……イチゴさん、こちらがシロさん。シロさん、こちらがイチゴさん」
「いちごだよ!よろしくシロ!」
「なにこいつ」

三人が纏う空気の温度に差がありすぎる。浦原は笑いながらそう思って、シロとイチゴの間に屈んだ。

「シロさんの前に生産された子ですよ。だからシロさんのお兄ちゃん的存在」
「おまえ、ボーカロイド?」
「おまえじゃないもん!いちごだよ!」
「うるさい」
「きゃあ!」
「こらこらこら!」

性質も違うだろうから反発しちゃうかな?車内でそう危惧していたのが当たり、浦原は危害を加えんとするシロを抱っこしてイチゴから離した。
髪の毛を引っ張っていたシロの手を軽めにパチンと叩いて眉間に皺を寄せる。

「駄目でしょうシロさん。こういう事しちゃ」
「だってコイツうるさい」

髪の毛を引っ張られた事がショックなのか、それとも言葉の暴力にショックを受けたのか、はたまた浦原が抱っこしたシロに嫉妬したのか、イチゴは頬を膨らませながら涙をボロボロと流してシロを睨みあげた。

「シロはいじわる!」
「だからうるさいっての」
「いちごはシロのおにいちゃんなんだから!ちゃんとおにいちゃんのいうことききなさい!」
「…デリート対象」
「わああ!それは駄目!それは駄目!」

キイィインと機械質な音を立ててシロの瞳孔が開き、そこから高音質の内蔵システムを大破させる音源を出そうとした寸でで浦原が止めに入った。
前途多難。その言葉が浦原の脳内を占め、本日何度目か分らない溜息を吐いた。













前途多難どころの騒ぎじゃない。白たまマジ白たま


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