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不透明な愛を君へ贈る


2013-04-29(月)
とってたらぬはないちもんめ


私は光(こっち)側の人間である。真夏の太陽が似合う、真っ青な青空の下が似合う彼を眩しげに眺めては笑顔で彼を見送る事の出来る人間である。
奴は影(あちら)側のバケモノである。眩しい太陽みたいなあの子を見て舌なめずりをする物言わぬ影である。

「なあ、浦原さんさ」
「はいな、なんでしょ」
「…いつもあんがとな。正直、すげえ助かってる」
「……おやまあ、どうした事でしょう。あの黒崎サンの口から素直で可愛らしい言葉が…」
「…ケンカ売ってるなら買うぜ?」
「はは、またいつも通りの黒崎サンに戻りましたねん」
「茶化すなよ…これでもあんたにゃあマジでかんしゃ、」
「いいんスよ黒崎サン、皆まで言わないで下さいな。ちゃんとわかってますから。大丈夫っス、君はいつも通り前だけをひたすら見て突っ走りなさいな。この浦原喜助が君の背中を守りましょ」
「ん。頼りにしてんぜ、浦原さん」

真夏の太陽よりも眩しく輝いた君の笑顔に笑い返す私は光(こちら)側の人間であり、そして、眩しい無垢な笑顔に舌なめずりをしてみせた奴は影(あちら)側のバケモノである。
ああ、ああ。
ああ、ああ。
そんな無垢にお笑いなさんな坊。首根っこ引っ掴んで押し倒してひんむいてめちゃくちゃにしてあげたくなるじゃないの。
ああ、ああ。
ああ、嗚呼。
可哀相な坊ちゃん。この男がどんだけ外道者かも知らずに笑顔だけを振りまいては導火線に火をそうっと灯した。なんて無知で愚かで可哀相な坊ちゃん。

「喉から手が出そうになるくらいには、欲しい物のひとつっスね」
「ん?何か言ったか?」
「いんや?な〜〜んも」

物言わぬ影がぐるるると喉を鳴らして呟いた。









ああ、嗚呼。喉からまっくろい手が伸びてあの子をとっ捕まえる前に、おさらばしなければ。


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