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不透明な愛を君へ贈る


2013-04-11(木)
やっつけ仕事

醜く汚く命乞いをする、責任をまるっと丸ごとここには居ない他者に投げ捨て、手を真っ黒く染めてるくせに死を恐れては情けなく泣き叫んで助けてくれと吠える弱い輩が一番嫌いだ。浦原は眉を潜めながらどうしてやろうかしらとポーカーフェイスを崩さずに考えていた。
とっておき素敵な作法で口を割らせるのも良いが今は疲れている。こんなヤツに構ってる暇はねーな。そう思っていた所で件の負け犬が口汚く吠えた。なんでもするから、そう叫んだ犬に対して表情を変えたのは浦原が遣える主君。

「おいお前、今、なんでもするっつったか?」
「っ、あ、ああ…なんでもする!するから、命だけは助けてくれよ黒崎さん!あんただけが頼りなんだよ!」

一瞬だけ怯んだ男は黒崎の眼光を真っ向で受け止め、ギラリと光った歪な光を希望だと勘違いして縋りついた。反吐が出る、その脳天ぶち抜いて脳髄を散らしてやろうか、浦原が動いた瞬間、見計らったように黒崎の手が阻めた。
口に咥えた煙草を揺らしながら笑んでみせる黒崎の考えが浦原にも読めずにいる。

「手ぇ出せ」
「は?」
「ほら早く。左手な」

既に折れた指は3本程だが、跪いた犬は尻尾を振りながら馬鹿みたいに何の疑いもなく両手を差し出した。
ジュ、肉の焼ける音が響いて、次の瞬間、男が醜い叫び声をあげて倉庫内を煩くさせる。方耳を塞ぎながら煩ぇ煩ぇ呟いて火が消えるまで掌の肉を焼く。
迷わず男の利き手を焼いたのには黒崎からのメッセージが含まれている、浦原だけに宛てられたメッセージだ。
"コイツもう要らない。"
笑いもせず、冷めた表情も見せず、ただいつも通りの彼の面差しでチラリと横に流された瞳にゾワリと何かが背筋を這い上がった。
ひとつだけ頷き、ホルダーにかけたベレッタに手を当て、叫ぶ男に興味を無くしたように背を向けた黒崎の背中を見て恐ろしい男、と小さく呟きながら野良犬駆除を再開させた。












なあお前、焼かれたのが舌じゃなくて良かったな


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