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不透明な愛を君へ贈る


2013-03-28(木)
ななつ下の彼の手はとても暖かい


子供は風の子、と言った所で寒さを感じないってわけではない。
ズビ、鼻を鳴らす度に子供っぽい音が鳴るのがいやだったが、雪の降る季節に何を好き好んでスケート場に来なければいけないんだ。思いながら浦原は再び鼻を鳴らして目前ではしゃぐ一護を黙ってみていた。

「浦原!すげえ!滑る!」
「…受験生に滑るだなんて言葉使うな!」
「あ、そっか悪い!じゃあ…スムーズに移動が出来る!」
「…っ、突進してくるな!」

片足で地面を蹴っただけで倍のスピードを出しながらこちらへ向かってくる一護に若干の恐怖を覚えて、コート脇の手すりをがっしりと掴んだ。命綱だ。コレは。不安定なバランスを保つ為に自然と掌に力が篭る。

「なーんだよお前、すべれねーの?」
「ハ、何を言うんだ君は。僕は仮にも受験生ですよ?だから滑れないのではなく敢えて滑らないんです」
「?わっかんねー、ほら、来い来い、ぜってー楽しいから」
「ちょ、っと待ちなさい!手を、手を離せ!」
「こわがんなって〜、ちょい足を開いてみ?ほら、滑り出したあ」
「ぎゃあ!ちょ、い、一護さん!て、手!」
「ん?手?」
「は、離すなよ!?ぜったいに、離すなよ!?」
「…お前、すべれねーの?スケート初めて?」
「フ、馬鹿を仰る!この僕が?成績優秀、スポーツ万能、眉目秀麗のこの僕に向かってっ」
「あ、そ。じゃあ手ぇ離すぜ?」
「ま、っちなさい!離すなって言っただろう!」
「…どっちさ」
「貴方の突拍子もない誘いもいい加減慣れましたし、今日のところは大目に見てやります!手を繋ぐ事も許可しましょう!」
「威張って言うなよ〜ほら、じゃあ滑りますよ〜」
「ぎ、ゃあ……」
「何、そのなっさけない小さな叫び」
「…う、るせーですよ。マジで滑ったらどうすんの」
「いや滑るだろう。スケートなんだし」
「違う!受験!こんなところで滑ったら、縁起が悪いにも程がある!」
「はあ?お前なら合格するって」
「な、にを根拠にっ」
「だって浦原じゃん。」
「は?」
「浦原喜助、俺が誰よりも信頼して信用して、出来る男だって信じている浦原喜助じゃん。大丈夫だって、受かるって。あんなに勉強してんだからさ。あの浦原喜助が」

そう言って笑った一護の鼻先が真っ赤で、うっかりこちらまで彼の熱を貰ってしまって浦原は顔を真っ赤にさせて俯いた。
あれ?お前、顔赤くねー?照れた?照れた?
彼の茶化す言葉に寒いからですと無愛想に答えて、繋いだ手に力を込めて握り返した。











17歳受験生と10歳小学生の恋物語とかね。歳の差カップル好きだなあ。


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