[携帯モード] [URL送信]

不透明な愛を君へ贈る


2013-03-06(水)
マジックミラーボール


二人は既にアルコールがもたらす幻想に酔いしれている途中だった。回るミラーボールの斑点が壁に天井に床に人の顔に体にDJブースに蔓延って映り眩暈を引き起こさせる。ああ気持ちイイ、頬を赤らめているだろう一護を見て浦原もそう思った。久し振りに酔っちゃった、そう言えば一護はオレもと笑う。薄暗いダンスホール、所々ではフェイクラブが繰り広げれる。
ぎゃはは!あいつらマジでキスしてる!冷やかし程度に音楽そっちのけのカップルを観察しては笑ってコロナを煽る。煽りに煽った挙げ句、もう呂律が回らなくなった一護は浦原の肩に頭を乗せたままヤベエ気分良いと呟いた。ぐわんぐわん、耳鳴りがなるくらいの音量でメロディが流れては散って流れては爆ぜた。周りのざわめきも聞こえない程、暗闇の世界にミラーボールの小さな斑点がくるくる回る。
既にアルコールで支配された脳でどんなモラルが考えられよう?
キスをしたカップルを見て、一護が浦原の耳元で囁く。
な、オレ等もしてみっか?
酔ってんスかあんた。
ちょう酔ってる。お前もだろう。
そうね。
笑って縮まった距離に苦笑して自然に唇を合わせればもう止める事なんて出来なかった。出来るわけ、なかった。
初めて触れた彼の唇は薄い、冷たい、先程まで飲んでいたコロナの苦い味がする。くちゅ、入れた舌先の熱さに驚いた琥珀色が浦原の目前で大きく開かれる。
胸に押し当てられた手が拒否を示すも、止められない。ごめんね、見つめ合う金色だけで告げてキスを深くしていく。
苦し気に寄せられた眉間の皺、熱い舌先、鼻から漏れる甘い吐息、ああくそっもっと繋がりたい。貪欲になる心が悲鳴をあげた。






これは紛れもなく、貪欲になったラブ


[*最近][過去#]









[戻る]

無料HPエムペ!