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memo
2019-10-26(土)
永遠の〇〇4 ※NL注意

バスソルト番外編
NL展開の為苦手な方はご注意





「みんな帰って来てたんだ…」

実家に着くと、兄たちとその恋人が顔を揃えていて。
なんと霞さんが言った通り、あの後本当に実家から呼び出しがあって、俺は征斗を連れて家に帰って来ていた。

「あれ、お前も来たんだ」

ラブ兄の恋人で征斗の兄、陸斗さんが征に声をかける。

「ああ、なんかよくわかんねーけど。流れで」

こっち派と霞さんに言われた征斗もこちらに連れて来ていて。征も気になったのだろう。一緒に帰ってきてくれていた。

「長期休みでもないのに、みんなで集まるなんて珍しいよね。何かあったの?」

お盆やお正月なんかはみんなで集まったりするけど、こうして普通の土日にみんなで顔を合わせるなんて。もしかして、家の事で何かあったのだろうか。

「うちの事業の事ではないと思うけどね。何も聞いてないし」

と凛兄。凛兄はうちの子会社をいくつか任されている。事業の事で何かあったのなら真っ先に凛兄の耳に入るはずだ。

「智兄、来ないねえ」

ラブ兄が呟いた。智兄はまだ姿を見せていない。今日の呼び出しは智兄からだ。智兄に何かあったのだろうか、なんて思案していた所に、渦中の人が姿を現した。

「ごめんね、呼び出しておいて遅くなっちゃって。あ、寿也、久しぶりだね。また一段と可愛くなって」

智兄は部屋に入ってくるなり、俺をぎゅっとハグして、おでこにちゅっと口付けた。いつまでたっても、智兄には子供扱いされる。

「ラブも凛も、陸君、巧君、征君も。集まってくれてありがとう。急に、ごめんね」

にこり。と綺麗な笑顔を見せてから、智兄は席に着いた。

「集まってもらったのは大事な話…といっても私事なんだけど」

智兄は一呼吸置いて。

「俺、結婚するよ」

その場にいたおそらく智兄以外の全員が息を飲むのがわかった。

「えええっっっ!?」

声が出たのは一拍置いた後。
けっこん、けっこん、結婚。智兄が。

「だ、誰と?まさか、政略結婚とかじゃ、ないよね?」

珍しく凛兄が動揺しているようだ。

「いや、気持ち的には普通に恋愛結婚なんだけど。ただ、結果を見ると政略結婚って見られてしまうこともあるかもね」
「って事はかなり良家のお嬢さんってことですか?相手の方」

巧君も、驚きと興味と色々な感情が入り混じった声で聞く。

「うん、まあね。みんな聞いたことあると思う」
「どこの家の子?」

ラブ兄の質問に、智兄は笑顔を受かべて。

「白河グループって知ってるだろ。ホテル業界の最大手。あそこの直系のお嬢さん」
「白河って…」

征がポツリと呟く。そして俺と征は互いに驚きを隠せぬままお互いに目を合わせた。

*****



「で、話って何な訳。つーかわざわざ帰ってきた意味あんのかよ。誰もいねーじゃんか」

結局霞のわけのわかんねー言動に振り回され、奏と2人、俺の実家に帰ってきたわけだが。家についても誰もいやしねー。奏は呆れたように席につきタバコに火をつける。俺はキッチンからコーラを取ってきてペットボトルのキャップを空けてガブガブと一気飲みする。

「ただいま」

そこに姿を現したのは、銀の長髪を靡かせた俺の兄、霧乃だった。

「霞お前ね。こんな急に呼び出しされても困んだけど」

言いながら霧乃もどかっと椅子にソファに腰を下ろし、タバコに火をつける。

「いいじゃん。現に帰ってこれてるじゃん」

ぷくっと頬を膨らませる霞。うぜーな。いくつだよお前。

「で?何なの。大事な話って」
「うんうん、よく聞いてくれたわね、奏!」

なんなのこのウゼーテンション。まあこんなテンションなんだから悪いことってことではなさそうだけど。

「私、結婚しまーす」
「…」
「…」

とびっきりの笑顔の霞。そんな霞とは裏腹に、いつもとテンションの変わらぬ霧乃と奏は、いつもと同じように紫煙をゆらしている。

「…よかったね、おめでとう」

まー、この中であえて比較するなら、まだ俺が一番人間らしい温かい心を持っているのだと思う。この幸せオーラいっぱいの結婚報告に、ノーコメントって。こいつら。

「……え。それだけ?」

結婚報告以上の言葉が続かない霞に、霧乃が目を丸くした。

「それだけって失礼!もっと喜んでよ」
「おっまえ、ふざけんじゃねーよ。俺は別に今初めて聞いたわけじゃねーだろうが。大事な話とかいうから仕事切り上げてきたんだけど!?婚約破棄でもされたのかと思って心配して帰ってきてやったんだけど。何。マジでそれだけなの?」

あれ、霧乃知ってたんだ。

「だって、こういうのはやっぱり兄弟みんな揃った場で発表しないと」
「んだそれ。マジでありえねーっつの」

霧乃は苛立たしげに灰皿にタバコを押し付けた。

「で?誰と結婚するの?」

珍しく奏は興味を持ったのか。ほんと、珍しい。姫ちゃん以外に興味なんてない奴が。ん?姫ちゃん?

「ん?聞きたい?そんなに聞きたい?」

ほんっとテンションたけーな。そんな嬉しいもんなのか。結婚って。

「そんなに聞きたいなら教えてあげてもいいかなー、どうしよっかなー」
「智也だよ。結城智也」

もったいぶる霞に被せるように口を挟んだのは霧乃。

「え?結城って、姫の兄貴ってこと?」
「そーそー」
「もう!なんで言っちゃうかな!」

怒る割には嬉しそうな霞。

「何年だっけ?10年以上?片思いの末だもんね。よかったね。脅しでもかけたの?」

ハッと鼻で笑って霧乃は2本目のタバコに火をつけた。

「そんなことしてないもーん。ちゃんと思いが通じたの」
「はっ、どーだか」
「ああ。それでこそこそ寿也に会いにきてたの?」

納得したように奏。俺もなんとなく話が見えてきた。

「ちょっと!それ、霧乃ちゃんの前では言わない約束でしょ?」
「は?お前弟に会いに行ったの?マジで脅しに行ったわけじゃねーだろうな」

霧乃がちょっと引いた目で見てる。

「ち、違うわよ…ただあまりに智也さんが、弟さんのことを気にかけてらっしゃるから、偵察…じゃなかった、様子を見に…」
「マジかよ、牽制しにいったの?弟に対して?うわー…」

霞はそれから散々霧乃にいじられ、だから霧乃ちゃんには黙っててって言ったのに!という恨みがましい言葉が部屋に響いた。
てか、霞と姫の兄貴が結婚するってことは俺姫の親戚になるんじゃん。そしたら姫のことこき使いたい放題だよね。
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