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武田家の日常  武田さん家の日常風景です。大体季節小ネタ。 半分はやさしさ、あとの半分は汗と涙でできております。
2009-08-31(月)
特別編・夏の良き思い出



それは、十年前の夏の事。



「さすけ、助けてくれーっ!」

「わっ、どうしたの、弁丸様。」
「父上よりいただいた、“夏季課題”がおわらぬー!兄上はもうとっくにおわらせたというのに。」
「毎日遊んでばっかいたからでしょ。で、夏季課題って?」
「朝顔の観察と、絵日記だ。」
「それ、一日で出来ないものばっかなんすけど。」
「さすけぇ〜。」

「あーはいはい、わかりましたよっと。朝顔はお兄さんの記録を見せてもらって。」
「ずるはいかん!」
「参考にするだけでいいから。弁丸様だって朝顔位見たことあるんだから何となくならわかるっしょ。」
「むむ・・・。・・・いや元はさぼったおれが悪いのだしな。しかし、絵日記はどうすればよいのだ?」
「俺様が弁丸様の日常を思い出しながら文章書くからー、弁丸様はそれに合わせて絵を描いてってよ。」
「おおっそれはおもしろそうだ!」

『七月二十七日ー、今日は土佐の海へ行った。そこには巨大なからくりを作っている子供の海賊がいた。おれも海賊船にのりたいなー。』

『八月十八日ー、動物たちとであい、なかよくなった。旅をしている若いふうふのお供たちだそうだ。次郎丸がおいしそうだなと思ったことは、ないしょにしておこう。』

「なんだ、これは。」
「創作にしては中々よく出来てるっしょ。」
「うそはいかん!海賊など早々みられぬぞ!それに、ふ、ふうふなど、は、はれんちな・・・っ。」
「えーそうっすかぁー?」

「・・・しかし・・・。うそでも書かぬと、おれはこの夏、たしかになにもしておらぬな・・・。
父上も兄上もお忙しそうで、どこにもつれて行ってもらえなかった。・・・おれひとり、ひまだったのだな。」

「・・・弁丸様・・・・・・。」
「いや、何でもない。日記のつづきを書いてくれ。」

「・・・弁丸様。最後の一日は真の事を書こう!」

「まことのこと・・・?」

「これから楽しい思い出を作るってこと。日記に書くネタが多すぎて困るってくらいに。」
「しかしそのようなこと・・・。」

「だから俺様がいるんでしょ?」

「さすけ・・・。」

「お供しますよ、弁丸様。海でも山でも、好きな所に。俺様と一緒じゃあ、楽しくない?」
「そんなこと、そんなことない!ありがとう、さすけぇっ!」

「・・・抱きついたりなんかしちゃって。甘えん坊だね、弁丸様は。」




「・・・・・・・・・さすけがいてくれて、よかった・・・・・・・・・。」






それから月日は経ち―――――


「―――佐助、助けてくれーっ!」

「・・・どうしたの、真田の旦那。」
「お館様より頂いた、“夏季修業”が終わらぬー!」

「・・・ほんっと成長しないよね、旦那って。」
「何か言ったか?」
「ううん。」


いいよ、あなたは


まだ そのままでいて。




「――さて、とことん付き合いますよ!」




「特別編・夏の良き思い出」へのコメント

By 天音あまた
2009-09-18 01:24
彩瀬晶華殿 ありがとうございます!
佐助と旦那はいつまでもこんな感じでいてくれたらな
と思います。
pc
By 彩瀬晶華
2009-09-01 09:30
か、可愛い・・・・・・っ
いいな、こんな関係・・・・ほのぼのでv
pc
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