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ショートストリー(SS)置き場

読み終ったあとに感想などをくれると嬉しいですm(_ _)m


2007-03-25(日)
Misty Unknown(SS)


〉これが夢だと解ったのは夢でしか会えない女の子に会ったからだ。
僕の夢には時々、見知らぬ女の子が現れる。別にその子と何をするわけでもなく、ただ見つめ合っているだけ…。
そしていつの間にか彼女は霧のように消え去り、僕の夢は覚める。

〉友人が自殺をしたと知らされたのは、休み開けの月曜日の事だった。人が死ぬだなんて、とてもじゃないが実感が湧かなかった。その日の葬儀では涙は流せず、ずっとうつ向いていた。
〉家に帰り服を脱ぎ捨て布団に入るが、寝るに寝れず、結局眠りについたのは明け方だった。
それでも夢は見た。
あの女の子だ。しかしいつもとは様子が違う。僕を見てクスクスと笑っているのだった。
そして毎度の如く、彼女は霧のように消え去ってゆき、僕の夢は覚める。
〉この夢を見た日は、なんとなく気分がいい。僕は軽い足取りで高校へ向かった。

教室に入る前、廊下ですれちがった女の子に「先輩、おはようございます」と声をかけられたが、はて、あの子に見覚えがあるが誰だったかなと考えつつ教室の扉を開き、自分の席についた。
クラスの雰囲気は少し暗い感じだが、そんな事はお構いなしに朝のホームルームは始まった。
「今日は転校生が居ます」
担任の言葉に皆はざわめいた。
「じゃあ入ってきて」と扉が開き、教室は一瞬にして静まりかえった。
カツカツと足音をたて、教室に入ってきたのは女の子だった。
僕は一目見て、あれは夢の中で会う彼女だとわかった。
彼女は僕の視線に気付くと、こっちを向いて近づいてきたのだ。
そして彼女は僕の隣に立ち、偉そうな口調で質問をしてきた。
「ねぇ、あなたの友達で最近死んだヤツいる?」
あまり答えたくない質問だが、仕方ないと思い渋々「いるよ」と答えた。
「そいつの顔を覚えてる?」
これもまた挑発的な口調で質問をするのであるから、こちらも反抗するように答えた。
「覚えてるに決まってるじゃん!」
「本当に?」
「あぁ、あんたと同じ顔をして……」
自分で何を言いかけたのか分からなかった。
あんたと同じ顔をしてただって?
まさかそんな事があるわけねぇーよと自分に言い聞かせ、周りを見回し絶句した…。
クラスの全員が僕を見てクスクスと笑っている。もちろん皆「夢の中の彼女」と同じ顔で。
頭の中で思考が途絶える。真っ白だ。状況の理解ができない。
「あなた、これは夢なのよ」
彼女の一言で頭が回転をはじめた。
「そうか、あんたが現れるのはいつも夢の中だけだ…、だからこれは夢なんだな」
しかしそう考えるとどこからが夢でどこから現実なのだろうか…?
「と言うか、あなたは存在すらしてないから、夢であるかすら分からないけどね…、フフフ」
霞ゆく夢の中で、彼女の不気味な笑い声だけが響いた。


END


〉さて、久しぶりのSS更新です……ってか、もうほとんど放置って感じですけど(^_^;

では、感想などをくれると嬉しいですm(_ _)m

 
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