[携帯モード] [URL送信]

ショートストリー(SS)置き場

読み終ったあとに感想などをくれると嬉しいですm(_ _)m


2007-02-03(土)
鬼の居ぬまに(SS)


〉母が家を出ていったのは、去年の節分の夜だった。
当時の僕は小学6年生で、母が家を出ていっただなんて思わなかったが、何日たっても帰って来ないので父に聞いてみたところ、他の男についていったと答えた。
その時は、相当ショックだったんだと思う。学校なんて行きたくないし、ご飯だって食べたくもなかった。だけど父は僕に優しく接してくれた。
〉しかし、中学にあがってから父の態度が180度変わってしまった。仕事は行かないし、酒は飲むし、暴力は奮うし…。あの優しかった父は一体どこへ行ってしまったのだろうか。
〉いつしか僕は家を出たいと思うようになっていた。
年が明け、2月に入り、母が出ていったときの事を思い出しながら雪の降る街中を歩いていた。母が出ていったときもこんな雪の降る日で、とてつもなく寒かった事を覚えている。
〉僕は信号で止まった。
車が何十台と走って行く。
ふと向側の歩道を眺めていると、帽子を被った女性が走っていた。
そして僕の視線に気付いたのか、顔を僕の方へ向け少し困った表情をしながら走りさって行った。
あれは母だ。
僕は直ぐにでも追い掛けたがったが、信号が未だ赤のままなので横断歩道を渡る事ができない。
「ちょっ…、待って」
当然声など届くはずもなく、母は走り続けている。
〉信号が青に変わった。今ならまだ間に合うだろうと思い、僕は全力で母の背中をめがけ走った。雪が僕の行く手を阻み、視界を悪くさせる。
〉もう少し、もう少しだった。あと30mの距離だった。母に急に走るのを止め、こっちを向いて手をふっている。早く母のもとへ行かなければと、気持ちが急かす。
僕は信号が有ることなどに気付かず、そのまま勢い良くとびたした。
その瞬間、視界が赤く染り激痛が体の全身を駆け抜けた…。


〉「計画通りね…」
一人呟く女がいた。
女はポケットから携帯電話を取りだしアドレス帳を開いた。そしてメールを打ちはじめた。
『たった今、トラックにはねられて死んだよ。』
この内容のメールを送信して数秒もたたない内に返信がきた。
『わかった。じゃあ、保険金は二人で山分けな…』
女は不気味な笑みを浮かべながら、携帯電話を閉じた。

「鬼は外、福は内」


END


〉今日は節分なので、節分ネタ(?)でSSを書きますた。

と言うわけで感想をよろしくお願いします…m(_ _)m

 
「鬼の居ぬまに(SS)」へのコメント

コメントはありません。
コメントを書く
[*最近][過去#]
[戻る]

無料HPエムペ!