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ショートストリー(SS)置き場

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2008-02-26(火)
Devils-Gate【後編】(SS)

 
 
〉「それじゃ、悪魔退治。はじめますか!」
「四大天使が揃えば恐いものもの無しだね」
残り二人の天使、ガブリエルとラファエルが声をかけた。
 
〉「一人だろうが四人だろうが、天使には負けない」
4対1で分が悪いにも関わらず、ルシフェルの闘志は逆に燃えているようだった。
 
「いえ、貴方は既に負けです。貴方にあたる無数の光は、悪魔の動きを封じ、そして浄化させます」
ウリエルは完結かつ無情に言った。
天空の光が射す扉にはそのような効果があるそうだ。その証拠に、ルシフェルは動けずにいた。
「天使のくせに、卑怯な事を…」
「卑怯? 関係ありません」
やはり、ウリエルは完結かつ無情だった。
「しかし、とどめは私達の手で行います」
四人は互いに眼で合図を出し合いルシフェルを囲んだ。
「火焙りか?串刺しか?それとも八つ裂きか?」
「黙ってください。主たる神は取りあえず、殺れとしか言いませんでした」
「ルシフェル、覚悟を…」
 
―――バタン。
 
瞬間、ルシフェルを照らしていた光が片っ端から消えていった。
 
――バタン。
 
―バタン。
 
バタン。
 
…。
 
終には暗黒となった。
 
どうやら俺の眼は正常に働いているようで、星や月が輝いているにも関わらず、暗くて何も見えなかった。
 
そんな暗闇の中で俺は、擦れる金属音と悲鳴が木霊するのを聞いた。
 
眼が慣れ、全てを把握できる頃にはルシフェルの姿は無く、血の痕だけがあった。
 
〉戦いの後、ガブリエルはミカエルの両腕を鎖で繋いだ。
「悪く思わないでね、ミカエルちゃん」
「大丈夫。わかってるから…」
ラファエルは悲しそうに声をかけた。
ウリエルは相変わらず無情で、剣に付いた血を衣服で拭っていた。
「じゃあ、取りあえず帰還しましょう」
ガブリエルの声に全員が頷いた。
 
「待ってくれ!!」
俺の声に天使たちは振り向いた。このままミカエルを返してはいけない、俺はそう思ったのだ。
「ミカエルはどうなるんだ!?」
この問いに答えたのはウリエルだった。
「ミカエルは神の裁きを受けます」
「違う。その後の事だよ!!」
「分かりません。主たる神がお決めになる事です」
そう言われてしまうと黙るしかなかった。
 
俺は自分の気持ちに気付いていた。
似てない妹の正体がミカエルだった。美麗とは不思議と一緒にいて楽しかったし、嬉しかった。
 
そう考えると、俺が伝えるべき事は一つしかなかった。
 
「俺もミカエルの事が好きだ。妹の美麗としてじゃなく、一人の女性として」
 
風が吹き、剣先が喉元にあった。
「黙れ人間。我々聖霊は、人間などという下等生物とは一緒に居られないのだ」
無情すぎる天使が俺を睨み、喉ではなく心を刺した。
「それに貴様にも主たる神から勅令が出ている」
そういえばルシフェルもそんな事を言っていた。ミカエルの使命だと。
「私の手で葬ってやる」
冷たい、まるで冷気を纏ったような剣が振り被られた。
「待って、ウリエル」
ミカエルの言葉で、剣は振り下ろされなかった。
「今は、今だけは見逃して…。お願い」
瞳から頬を伝い、雫が溢れる。ウリエルは舌打をして剣を鞘に収めた。
「私は先に帰還する。人間、次は無いからな」
そう言い、地を離れた。そして何かを思い出したのだろう。もう一度俺を睨んだ。
「あと記憶は消させて貰うからな。文句は言うなよ」
扉の開閉音が聞こえ、ウリエルは姿を消した。
 
〉「さぁ、私たちも行きましょう」
三人も地を離れた。
「ミカエル。俺、待ってるから。記憶が消えても、絶対待ってるから!」
雫が月明かりで輝く。
夜の闇にミカエルの黒翼は消され、人が天に還るようだった。
「私も。私も、絶対帰るから。だから、それまでは…」
「うん、それまでは…」
 
〉こうして、俺の奇妙な5日間は幕を閉じた。
 
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