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ショートストリー(SS)置き場

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2008-02-25(月)
Devils-Gate【ED】(SS)

 
 
〉日常とは平凡で、変化が無い。でも、それが良いのだと俺は思う。
 
いつぞやの
意味もなく屋上で夜を明かして以来、何故かそう思うようになっていた。
 
俺は今から学校へ向かう。
この時間帯は、高校生だけでなく小中学生やサラリーマンの方たちもいる。
そんな中、二人の小学生が俺を追い抜いて行った。
「ほら、早くしないと遅刻しちゃうよ。走って走って」
「待ってよ、榊ちゃん。走ったら危ないよ〜」
こんな風景も微笑ましい日常の一つだ。
こんな毎日が続けばと思うが、世界はそんなに甘くはなかった。
 
〉大きな交差点で、それは起きた。
俺の前を走って行った小学生の女の子が、車道のド真ん中で転び、ランドセルの物が散乱した。
女の子は散乱した物をしまうのに一生懸命で、事の重大さに気付いていなかった。
 
「あ、危ねぇ!!」
後ろからトラックがスピードを上げて走ってきた。
俺は我を忘れ走った。
そして女の子を掴み、おもいっきり車道の外にほおり投げたが遅かった。
 
『ギィィ…』
 
トラックはスピードを下げる事なく、俺に突っ込んだ。
 
視界が漆黒に染まる。
急ブレーキの音が響く。
走馬灯が脳内をかけ廻る。
不思議といい気分になった。
 
――バタン。
 
〉時間は永遠じゃない。
だから生きる者は必ず過ちを犯す。仕方の無いことだ。
でも、許すことはできる。
それが世界の唯一の救いだ。
 
「おい坊主、しっかりしろ」
眼を開けると、鉢巻きをしたヒゲオヤジが俺の顔を覗き込んでいた。
「いや〜、生きてる。良かった〜」
「ちょ、おっさん。女の子は?」
「女の子も無事だ。それよりも坊主が生きてる事の方が奇跡だよ」
 
おっさんは胸をなで下ろし、息をついた。
「大丈夫か、ケガもないのか?」
「うん。大丈夫そう…。それよりも、回りの
この白いの何?」
俺は白いソレを一枚、手に取り疑問に思う。
「羽根?」
「ぶつかった時に、坊主の体から出るのを見たがね」
その白い羽根には見覚えがあった。
 
赤く斑点がつき、とても暖かい。そして全てを思い出させてくれる扉の鍵だった。
 
〉「おっさん、俺授業あるから急ぐわ」
「おい本当に大丈夫かよ」
「大丈夫。それじゃ」
本当は授業なんてどうでもよかった。
なぜなら俺は全てを思い出したんだから。
 
そして走った。
目的地は学校の屋上。
全ては、俺と恋に落ちた天使のために。
 
〉――ガチャ。
 
勢いよく屋上の扉を開けた。
そこには果てしない空が広がり、太陽が眩しく輝いていた。
その光に反射し白い翼の天使は立っていた。
 
「ミカエル…、おかえり」
「……ただいま」
そのまま俺たちは歩みより、熱い口づけを交した。
 
唇を放すとミカエルは頬を赤く染めた。
「もう放さないよ、ミカエル」
俺は強く彼女を抱き締めた。
「でも…、私…」
恥ずかしいのかミカエルは抱き締める腕をほどき距離をとった。
ミカエルはフェンスの外を眺めながら話を始めた。
 
「主たる神は、私を許してくれました」
神様ってヤツは意外に優しいらしい。
 
「でも命令は守れと…」
 
「え…?」
 
――グチャ。
 
背中から胸に向け、冷たい金属が俺を貫き、真っ赤な液体が流れ出た。
再び意識が漆黒に染まる。
 
そして最後に背後から無情な声が聞こえた。
 
「だから言ったろう、人間。
次は無いと…」
 
 
-----END-----
 
「Devils-Gate【ED】(SS)」へのコメント

By ナイフ
2008-03-18 15:07
ウリエルメインの話書け

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