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SS×Short Short
2009-03-01(日)
ヒミツ -H×T-

「サクラ?」

「あ、小龍君。今帰り?」



ここ、東京でも初めてまともに雪が降った日。
学校の正門に一人佇むサクラを見て、綺麗だ、なんて思ったことは秘密にしておく。


「…小狼、待ってるのか?」

「うん。小狼君今先生に用事があるんだって」

「そうか。…待つなら玄関とかの方が良くないか?」

「雪、好きなの」


そうか、とうなずいたあと、サクラの頭に髪飾りみたいに乗っている雪を払った。
ふれた瞬間、真っ赤になるサクラの反応が面白くてくすぐったくて、少し悲しくて。
置いた手をどけることもせず、そのはちみつ色の髪に触れ続けた。

「小、小龍君…?///」

「顔、真っ赤」

「だだだだって…!!」

「俺がやると小狼にやられてるみたいだから?」

「えっ…?」

「同じ顔だからな、俺たちは」


自嘲気味に言葉を吐き出すと、すっと手を引く。
そう。こうしてサクラが赤くなるのも、おれを通して小狼を見てるから。
一見パッと見ただけでは、どちらがどちらか分からない。それほどよく似ている。
髪も、瞳も、顔立ちも。そして人の好き嫌いでさえも。


「違うよ」

「えっ…?」

「確かに最初はすっごい似てるって思ったけど、今はちゃんとわかる。小狼君と小龍君は違うよ」


紡がれた言葉は純粋で、しっかりとしてて。
俺の考えが伝わってしまったのではないかと思うほど。


「…じゃあ俺にドキドキしたってこと?」

「あ、あんまり慣れてないんだもん!!///」

「そうか奥手なのか、小狼は」

「もうっ!///小龍君!!」

「おつかれ。これ、小狼に返しておいてくれ」


真っ赤になって怒るさくらをひらりとかわし、持っていた傘を渡して帰路に着く。
曲がり角を曲がって正門から見えない位置になったとき、ぴたりと足を止めた。
天を仰ぐと、白い息と白い雪が混ざり合って溶け合っていくのが見えた。


「可愛いな、二人とも」


あの頬の赤さは、俺へ向けられたものだと、ちょっとだけ嬉しくなる。

ずっと聞きたかったこと。
自分を『小狼の兄』ではなく、『小龍』としてみてくれていたこと。
それを知れただけで、もう十分だから。

壊したくない。幸せでいてほしい。
だって2人とも、大好きで大切だから。


俺のこの気持ちは、鍵をかけてひっそりと沈めておく。




俺の恋は、秘密から始まる恋―――。









―――

「サクラー!お待たせ!」

「あ、小狼君」

「ご、ごめん遅くなって」

「ううん。さっきまで小龍君がいたし…あ、これ小狼君に返してだって」

「えっ…これ兄さんの傘だよ?」









―ヒミツ―
(これは恋だと、自覚してるから。)







『ヒミツ』熊木杏里
――――――――――
ホリツバは小龍→小狼×さくらのバランスが好きです!(あくまでも小狼さくら)
好きなのに叶わない、でも好き。
ジレンマがありながらもやっぱり好きってやめられないんだなって最近思います。
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