[携帯モード] [URL送信]

日々精進
萌え語りとか普通の日記とか色々…。
>>呟き
2011-06-25(土)
リハビリ

絵が描けないならお話を書けばいいじゃない、ということで今頑張って携帯でぽちぽちしてます。
手先が器用じゃないから携帯の長文打ちは憂鬱です。世の携帯小説サイト管理人さんを尊敬します。
そんなわけで下のほうにサナダテ♀←佐助な現代パロ話があるのでお暇な方はどうぞ。2000字あるかないかの短い文章なので正式にサイトに上げるかは考え中です。







インターホンに呼ばれ開いた扉の先に見えた姿に、佐助は握ったままのドアノブを反射的に引き寄せた。
だが、それを予想していたのだろうか。訪問者は慌てることなく足を割り込ませて佐助の拒絶を妨害した。
ふわふわの薄黄色の春らしいスカートから伸びる足が履いているのは、ヒールの低いサンダルだ。ガンッ、と鈍い音をたてて白い肌に安アパートの扉が激突する。訪問者が喉の奥で唸った気配を感じ取ったし、内心しまったとも思ったが、佐助の個人的な事情からここで優しく振る舞うわけにはいかなかった。
その事情は、誰にも知られてはならない。特に、目の前の訪問者には。

「…何の用?」

その訪問者の侵入を阻むことを諦め、なるべく冷たい印象を与えるように言い放つ。訪問者はそんな佐助の態度にも慣れているようで、表情ひとつ変えずに用件を告げた。

「先週、アイツ来ただろ。そのとき忘れ物したって言うから」

心当たり無いか?ときかれ、ああ確かにと返し、すぐ室内へと目的の物を取りに向かう。
それは、彼らしくないな、と思った指輪だった。指輪の持ち主は装飾品をあまり好まないはずであったが、最近はそうでもない。佐助はそんなものを彼がつけている理由を知っている。恋人―――今佐助の部屋を訪問している女だ―――ができたからだ。恋人ができて、自然とファッションにも興味が出てきたのだろう。使われるアクセサリーは少ないが、それでも以前の彼を知る佐助からしたら大成長だとわかっていた。
わかりやすいようにテーブルに置いていたそれを手にとり、玄関で待つ女に渡す。

「はい。これでいい?」
「ああ…Thank.悪いな」

じゃあ、それだけだから、と告げて去る訪問者の姿を、佐助は見えなくなるまで見送ったことを、女が気付くことはないし、気付かなくていいと佐助は思っている。

「不器用だな、俺…」

もう少し自分勝手に生きることが出来れば、こんなに苦しむことも無いのだろうか。

既にアスファルトの逃げ水の向こうまで遠ざかった後ろ姿と、訪問者のコロンの残り香に嗚咽を漏らした。
「リハビリ」へのコメント

コメントはありません。
コメントを書く
[*最近][過去#]
[戻る]

無料HPエムペ!