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memo
2016-01-17(日)
ネタ


 六枚羽の天使。

 強いと羽の枚数が多い。六枚羽の天使は対悪魔戦で一騎当千の強さを誇る。でもその実体はとんだヘタレ。

 強いけど、階級が低く、気をため込む容量も小さい。でも悪魔倒すと大量に気を取り込んでしまうので、あふれて結晶化して重い。小〜中程度の大きさの結晶は他の人に譲るが、大はどうしても残ってしまう。

 なぜなら結晶大を利用できるような人は、そもそも他人から貰う必要ないから。

 地下道で譲渡会みたいなの行って、やっぱ大は残ったなぁ。できればこっち持ってってほしいのになぁって、まだまだ重い羽をバッサバッサ。

 そろそろ仕事に戻らないとと、地上階に移動。朝礼はすでに終わっていたから、店長に担当フロアに行ってきますと。担当は最上階の九階。店長は苦い顔。

 軍部に行けば有能だろうに、ここでは無能なのだから嫌な顔の一つでもしたくなるというもの。周りがいくら軍に入れといっても、本人はこっちの方が向いてるからと。性格的には向いてるが、能力的には向いてない。

 まだ稼働してないエスカレーターで九階まで行こうとしたところ、来客を知らせるチャイム音。

「すみませーん。ここで六枚羽の天使さんに会えるって聞いたんですけどー?」

 本人ヘタレで、周囲からは苦い顔されてるけど、六枚羽の天使の強さは有名で噂でしか知らない人たちには人気がある。だからまれに姿を見にやってくる人もいるが、本人あまり嬉しくない。理由はどうであれ客が来るのが嬉しいから、店長の愛想はいい。

 ほらきちんと対応しろと店長に促され、えーとなるが客の顔見て焦る。

「アレ違う!アレ悪魔!」
「よぉ。遊ぼうぜ?」

 一騎当千の強さで、バッサバッサと悪魔倒してるからもちろん恨まれてる。強いけど戦うのは好きじゃないから、エスカレーター駆け上がって逃げるけど追いかけてきて。最上階まで駆け上がると反対側のエスカレーターまで行って、今度は駆け下りる。

 この頃にはエスカレーター稼働してて。上りエスカレーターを駆け下りるハメに。

 途中でふと、そういや自分たちは羽出して飛ぶけど悪魔ってどうしてたっけ?となる。

 んでもって、一つ下の階着いたら振り返って、飛んで飛んで!って。もちろん、悪魔は、あ?ってなる。

 そんで悪魔が同じ階にたどり着きそうになると、先に一つ下の階まで走っていって、また飛んで飛んで!と。訳が分からないも、とりあえずエスカレーター中程からダンッと飛び降りる悪魔。

 六枚羽の天使は、違う!そうじゃなくてとまた一つ下の階まで走り降りる。そんなやりとりをしつつ、一階まで着くと今度は、下りエスカレーターで最上階までかけ上がりを繰り返す。

 何度か繰り返す内に、当然悪魔は体力の限界を迎えて床に膝と両手をつく。息切れ一つしてない六枚羽の天使は、のんきに大丈夫?って。

 今日はもう無理と、次は覚悟しとけよと去る悪魔。結果的に悪魔撃退した六枚羽の天使。

 六枚羽の天使の勤務先がなぜか書店でしたが、多分天界の役所とかの方が良い。事務員。本人嫌がってるから軍には所属してないけど、時々召集かけられでもしているのでしょう。

 これで恋愛要素をとなると、恋に落ちるのは一瞬かと。出会った瞬間、もしくは元々顔見知りだったのにふとした瞬間に脳内で鐘が鳴り響く。

 その後は傍目でもわかりやすいほど恋い患って。しょっちゅう溜息ついたり、花占いしたり。

 相手が悪魔なら、接点持ちたい一心で軍に入隊したり。相手は悪魔だぞと言われても、自分が改心させてみせる!そう、愛の力で!とか言い出して周りから匙を投げられる。

 相手は悪寒が止まらない。

 最初の内は応戦してたけど、だんだん涙目。もうヤダ!何あいつ!きめぇっ!って。その内姿見つけただけで逃げだす始末。周りからも同情の目で見られる。

 とにかく、本気で殺すつもりで攻撃してもあっさりいなされて、照れ屋さんなんだからっで済まされてしまう。いくら違うと言っても六枚羽の天使の耳には届かない。

 純粋な好意や善意で一途につくし(明後日の方向に)、押し掛け女房のつもりだけど、夫婦の営み(無断で潜り込んだ)では六枚羽の天使がうっかり抱く側。だってかわいかったんだもんと、悪意も反省も一切ない。

 相手が軍人だったら、お近づきになりたい一心で軍に入隊するけど、基本行動は上記と同じ。

 相手は上官にというわけで君の部隊にと相談されたら嫌ですと一刀両断。命令だったら従うけど、相談なら全力で拒否したいほど嫌がってる。何が悲しくてストーカーを身近におかなければならないのだと。確かに有能だけれど、自分の身が危険にさらされる。

 恋をしたことでヘタレから変態にジョブチェンジ。でももともと気は弱いくせに他人の言うことなんて一切聞かないんだから大して変わってはいない。

 好きな人には嫌われ、身近な人には苦い顔される。そんな六枚羽の天使。
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