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フリーワンライ Twitterでの週一の60分間のお題をもとにショートストーリーを置いていきます。
2021-02-20(土)
真夜中の騒ぎ

【第152回 二代目フリーワンライ企画】本日のお題
唐草模様
約束が違う
酔っ払いの戯れ言さ
共感性羞恥心
それから二時間が経過した
この中から一つ以上選んで執筆してください!

[真夜中の騒ぎ]

 武闘派陰陽師として護衛の依頼を柾美は受けたが今いる場所は葬儀場である。依頼主は大企業の社長であり護衛する相手は先代の社長の遺体。
「いやいやいやまって!ツッコミは色々あるけどなんで俺たちが!?」
「金にはなるから文句言うな」
「文句じゃなくて今どき死体を悪戯しにくる奴がいるから守れってそんな悪趣味な奴いるの!?」
「状況によるだろ」
 静まり返った葬祭場の一つの部屋で叫び声を出す柾美を呆れた顔で叔父の誠は見る。
 柾美は腕は良いがまだ高校生のためか依頼者に不安な顔をされる事があるため保護者と称して大人の誠が今回は付き添う事となったのだ。
「状況ってこの爺さ、じゃなくて依頼者の身内どんだけ悪どい事してきたんだよ」
 柾美たちが頭に思い浮かんだのは火車という妖怪。生前に悪行を積んだものの遺体を奪っていくとされている猫の妖怪である。
「いろんな会社を倒産させたり人道的にアレな事をやっていたと噂の絶えない人だったらしいからな。俺たち呪い事と縁が深い人種だ」
「俺の依頼相手そういう奴らばかりじゃないけど?今の社長はいい人だよ。でも会社の名誉守るために守れって事だよな」
 そもそも本当に火車は来るのかと疑問に思っている。
「難しい事考えるな。俺は一服しているから適当に頑張れ」
 誠は床に腰を下ろすと酒瓶を出すと栓を開ける。
「仕事中に飲むの!?いくら俺たちしかいないからって信じられないっっ」
「何言ってやがる俺は酒を飲む方が力が上がるんだよ。それに今回のメインはお前だろ。こっちはただの付き添いだからな」
「そんな酔拳的なって間違ってないけどっ飲みすぎるなよ」

 それから二時間が経過したが何もこないまま。
「なぁやっぱりこのまま来ないんじゃないの?」
「だったらそれはそれでいいだろ。なんならお前も飲むか?」
「は?未成年に勧めるとかありえないっっ」
「じゃあなんか面白い事やれー」
「うるさい酔っ払いっっ」
 誠が騒ぎ柾美がツッコむということが繰り返されて夜がふけていく。
「お前らいい加減にしろっっっ」
 どこからか声が響き二人は黙り顔を見合わせる。
 柾美は武器の刀の柄を握りしめる。
「さっきから様子みてりゃ延々とツッコミ漫才ばかり続けやがって何が護衛だっ」
 目の前に虎模様の猫が現れて叫ぶ。
「よっ火車ちゃん元気だなおめぇも一杯やるか?」
「やるかーーーっっその死体取りに来たに決まってんだろっっ」
「取りにって言われてもなぁ」
 柾美のかまえた刀が暗闇に光る。
「じゃあ一部だけ持っていくか?この爺さん気に食わなったから足か腕の一本ぐらい持っていってもバチ当たらねぇよ」
「何言ってるのっ約束が違うよ!!」
「こいつに社会的に殺された奴、実際に命のやり取りさせられて苦しんだやつは山ほどいる。少しは痛い目見せてもいいだろ。これは酔っ払いの戯れ言だがなぁ」
「叔父さん、、、あーーー怪しい奴がいたから俺あっちいってくる!叔父さんやつは手強そうだから腕とか足とか一本くらい持ってかれるかもしれないっごめーんっ」
 そう叫ぶと柾美は廊下を走って行ってしまう。
「あの通り武器持ったやつは行ってしまった。そして俺は力及ばずここで倒れる。だからその時に何があったのかは見てないと。じゃあおやすみーー」
 その後火車がどうしたかは知らないが柾美たちは依頼を完全には達成できなかったため依頼料は一部引かれたとか引かれないとか。

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