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フリーワンライ Twitterでの週一の60分間のお題をもとにショートストーリーを置いていきます。
2020-06-13(土)
騙すのはお手のもの

【第117回二代目フリーワンライ企画】本日のお題
一番の弱虫
嘘だったなんてひどい
プロの手口
痩せ我慢はバレてる
ルーティン
この中から一つ以上選んで執筆してください!

[騙すのはお手のもの]

学生の身でありながら俺は密かに陰陽師の見習いだ。そして通っている学校には異界への通路が夜になると開くため夜中の見回りはすっかりルーティンとなっている。もちろんボランティアではなくちゃんと依頼された事だ。一晩丸々でなく時間も決まっているのはありがたい。
今回はひとけのない校舎で宴会をしているバカがいるらしい。ただ騒ぐだけならいいが備品やら窓やらを壊されるのは迷惑なんだよな。
俺は武器である刀を手にして暗闇を歩く。話の通じる相手ならいいが大抵は実力行使だ、今回もそうだと思う。
基本的に陰陽師というのは占ったり呪術を使ったりするものだけど俺の一族は最終的には武器でその場を納めることが多い。けして呪術を使うことが面倒な脳筋ではない。
ああ、あの灯りか。見たところ狸たちが10匹以上で酒盛りしながら化けくらべか。
「おいっこんな夜中に何やっているんだ?」
狸たちは一瞬黙り俺を凝視する。まあいきなり人間が出てきたらそうだよな?さて、どうくる?
「別嬪ねーちゃんだ!」
「一緒に呑もうぜっっ」
うるせぇーーーーーっっ誰がねーちゃんだ!
「俺は男だ!迷惑だからとっとと帰れっていってんだ!!」
「そんな綺麗な顔で背も低い男がいるかっ脱いで証明しろーーー」
脱げとコール始まった!こいつら俺が気にしている事を!
正直脱ぐことに躊躇はないが服のポケットには色々と便利な道具が入っているし酔っぱらい相手に生身を晒すのはなぁ。
「別に脱ぐのはいいけど俺ばっかり恥ずかしい目に合うのは納得できねぇな。その前におまえたちの見事な化けっぷりを見たいなぁ」
「化けるなら任せろーー」
「おおーーーーーー」
呂律の回らない雄叫びをあげて次々と化けていく。さすがにこれだけの数の化け物と対立するなんて無理だ、力を使わせてしまえばいい。
「きゃー素敵よーもっと見せてーーー」
我ながらこの容姿を利用する事になるなんてな。

「ね、ねぇちゃんそろそろいいんじゃないかい?」
すっかり疲れた様子で狸たちが俺を見てくる。調子に乗せた俺も俺だけどどうして全員ノリノリで体力削るほど化け続けたんだ。酒の力怖いな!
「バカめ!俺は男だ!!」
上半身の衣類を颯爽と脱ぎ捨てると狸たちは落胆の表情になる。
「嘘だったなんてひどいぃぃーーー」
「俺は陰陽師だからな!これがプロの手口だ!覚えておけっっ」
呪術で異空間への入り口を作ると酔っぱらいどもを投げ入れて行く、途中から泣きながら飛び込んで行ったけどな。刀を使うまでもなかった。
こうして俺の任務は無事に終わった。

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