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2021-04-26(月)
死んでまた地獄の鬼と一戦〜松方弘樹シリーズ【10】

 かつて「元気が出るテレビ」というバラエティの走り的な番組があったらしい。そして、何と松方弘樹さんがメインキャストの一人として出ていたという。非常に残念なことに私は一度も見たことがないのだが、そういえば、ぐっさんが松方弘樹さんの物まねしたのを以前観たことがあった。

 で、つい最近読んだのだが、その番組に出ることは、松方さんの周囲の人たち(映画の関係者たち)は全員反対したという。だが彼は北野武という人に興味があるということでOKし、そして、自分は「汗っかきで涙もろい中年の松方部長」という人間を演じようと思ったという。そう聞くと、確かにぐっさんはそんな感じの物まねをしていた。

 さて、「仁義なき戦いT」で私が一番感じたのは、松方さんのスタイリッシュぶりである。勿論、衣装さんやコーディネーターさんがいらっしゃったんだろうが、上記の「汗っかき〜部長という人間を演じようと思った松方さん」のことを知って、少し考えが変わった。あの「仁義なき戦いT」における松方さんは本当にカッコいい。前半は迷彩服っぽい衣装に同色の帽子にサングラス、後半は黒いスーツに白いトレンチコートにサングラス。普通は見られないカッコよさだ。前半は若くて血気盛んな出世前で、ことあるごとに帽子を着脱している。後半は出世して高いポジション(若頭)、サングラスをかけたり外したりしている。
「戦後間もない時代を生きた、ファッションにこだわった真面目で一本気な極道」
を演じようと思ったのかな、とふと私は感じた。

 ところで、私の知人に熱心な松方ファンの女性がいる。彼女は娘時代、「勝海舟」で松方ファンになったそうだが、何と一度しか観ていないという。家族の誰かが「自分は、尊敬する勝海舟をこんな知性も教養もない俳優が演じるのは耐えられない」と言って、直前の渡哲也までは観ていたのに、松方さんに代わったら番組を観させてもらえなくて悔しい思いをしたそうだ。
 
 しかし、果たして本当にそうだろうか。上記に書いたように、高がバラエティ(ごめんなさい)に出るのに「こう演じよう」と考えていたり、高がやくざ映画(ごめんなさい)でとことん衣装にこだわっている人が、NHKの、それも大河に出るのに、何もしていないのだろうか?

 私はDVDで観たのだが、幕府軍幹部行並みにしても江戸城の無血開城にしても、すごかった。極めつけは岡田以蔵との別れのシーンだ。土佐藩を脱藩して江戸で人斬りになっていた以蔵は、捕まった時に、勝海舟と親交があることが幕府に知れれば幕臣の海舟に迷惑がかかると思い、最後まで自分は無宿人で海舟を知らないと言い張る。その後、打ち首獄門。以蔵の辞世の句を聞いて海舟が坂本龍馬に「死んでまた地獄の鬼と一戦」と言う。この辺りは涙が止まらず、
「この人、本当に勝海舟なんじゃね?」
というくらい、ぴったりである。これは松方さん、原作を絶対に100回以上は読んでいる、と私は感じた。
 更に驚くのは、歳が32歳だということ。それで、勝海舟の晩年を演じてる?最早、天才だとしか言いようがない。

 その「尊敬する勝海舟をこんな知性も教養もない俳優が演じるのは耐えられない」と言っていた方、こんなすごいドラマを観なかったなんて、人生半分、捨てましたよ。

 今私は、別の意味で毎日悔しがっている。チャップリンとかジャン・ギャバンとか、もう亡くなってしまっている人ならまだ諦めもしようが、同じ時代を生きていたのに、その存在をほとんど知らずにいたことが、悔しくてたまらないのだ。
 だから、あと何年生きるかは分からないが、DVDやオンデマンドや配信サービスで、出来る限り松方さんの作品を捜して、一生かかっても全作品を観たい、と今、私は切に思っている。
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