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偽りの名 呵々闘諍の日記(力水の書いたやつ) 決闘時空まとめページ
2012-11-23(金)
決闘時空(デュエルスペース)第五話 Part4

決闘時空 第五話「作る者」Part4


穂村 龍一:LP5400、手札4
場:《冥府の使者ゴーズ》(ATK2700)、《冥府の使者カイエントークン》(ATK2600)
場:

天神 美月:LP8000、手札3
場:《アテナ》(ATK2600)、《ライトロードマジシャン ライラ》(DEF200)
場:《神の居城−ヴァルハラ》



「ここで穂村プロ、《冥府の使者ゴーズ》を繰り出してきたぁ!《ゴーズ》も《カイエントークン》も天神会長のモンスター達を上まわっているぞぉ!これぞ、肉を切らせて骨を断つプレイング!さぁ、この二大モンスターの登場に天神会長はどう立ち向かうぅ!?」
静かな動きから攻撃に転じる動きに移った穂村プロの様子を見て観衆は騒ぎ立てる。手札事故を懸念していた生徒達は穂村の戦術を見て感銘を受けているぐらいだ。
一見すると単純なプレイングの様に思えるが、リスクも伴っている。腕のあるデュエリストなら手札の《ゴーズ》を気にして攻撃を躊躇する事もある。だが、さらに上のデュエリストになると手札の《ゴーズ》を警戒して防御に回って足踏みするよりも、攻勢に出て勢いづける方を取るであろう。穂村は天神程のデュエリストなら臆せずに攻撃してくる、そう天神の実力を見極めて1ターン目の行動を取った、と周りの生徒達は考えていた。
しかし、そんな生徒達とは対象的に、天神や生徒会の面々は動揺している。
「どうした、天神?これぐらいで驚く事はないだろう?」
「……はい、デュエルを続行します。私はカードを1枚伏せます。エンドフェイズに《ライラ》の効果でデッキからカードを3枚墓地に送り、ターンを終了します……。」(手札3→2)


(2ターン目)
穂村 龍一:LP5400、手札4
場:《冥府の使者ゴーズ》(ATK2700)、《冥府の使者カイエントークン》(ATK2600)
場:

天神 美月:LP8000、手札2
場:《アテナ》(ATK2600)、《ライトロードマジシャン ライラ》(DEF200)
場:《神の居城−ヴァルハラ》、伏せ×1



「俺のターン、ドロー。」(手札4→5)
穂村にターンが回る。穂村は天神の動揺している心を見透かしているのか、口元がニヤリと歪んでいた。
「大庭さん、これって…。」
「穂村プロが、ダークシンクロ使いってことか!?」
「……まだ、解りません。僕自身、混乱しているんです……。」
穂村の場にモンスターが存在する、それは天神が能力を発揮できていないと言う事である。事情を知らない生徒達にはいつも見ている普通のデュエルの光景であるが、吉井達にとっては衝撃的なものであった。
特に基は悔いていた。今までの経験からダークシンクロ使いは夜にしか現れないと思い込み、そのことを天神達に伝えてしまった。軽率であった。無駄な情報を伝えるべきではなかった。伝えてなければ、早くのうちから能力を失った時の為のデッキを組んでいたかもしれない。基は申し訳ない気持ちに押しつぶされそうになる。

「さて、伏せカードが気になるが…。このままバトルと行こう。《ゴーズ》で《アテナ》に攻撃、《カイエン》で《ライラ》に攻撃!」
「穂村プロ、天神会長の伏せカードを臆せず反撃に出たぁ!さあ、この行動は吉と出るか、凶と出るかぁ!?」
穂村は解っていて攻撃をしかけた。天神はその能力によってモンスターに攻撃されることはまずない。そのため、伏せているカードは魔法や罠を除去するものやダメージに対するカウンターカードであると見切っているのである。それは、かつて自分を苦しめてきたカード達である。今はそれを気にせずに攻撃できる。今までにない狂喜を穂村は感じており、それに応えるかのように《ゴーズ》と《カイエン》は天神のモンスター達に斬りかかって行った。


《冥府の使者ゴーズ》ATK2700→《アテナ》ATK2600
《冥府の使者カイエントークン》ATK2600→《ライトロードマジシャン ライラ》DEF200


モンスターが破壊されるエフェクトにより爆風が巻き起こり、フィールドが煙で包まれる。たった2体のモンスターであったが、戦闘破壊出来た喜びに包まれ、穂村は歓喜していた。
「ふははははは!《アテナ》、《ライラ》ともに破壊!」
「……それは、どうかしら?」
「何っ!?」
煙の中から天神の声が聞こえてくる。その声からは、やられたという印象ではなく、余裕に満ちた感じが伝わって来る。

「ば、馬鹿な!?」

穂村 龍一:LP5400、手札5
場:
場:

天神 美月:LP8000、手札2
場:《アテナ》(ATK2600)、《ライトロードマジシャン ライラ》(DEF200)
場:《神の居城−ヴァルハラ》


《アテナ》と《ライラ》は健在していた。それどころか、穂村のモンスター達の方が消えている。この事態に穂村は戸惑う。
「《聖なるバリア−ミラーフォース−》を発動していました。よって、《ゴーズ》と《カイエン》は破壊されます。」
「天神会長、《ミラーフォース》で穂村プロの攻撃を跳ね返していたぁ!これでまた穂村プロの場がガラ空きになったぞぉ!!」
天神のカウンターが綺麗に決まった事により、観衆たちは「おおっ」と感心する。
「やっぱり、天神さんはすごいや!」
「《ミラーフォース》を伏せていたとは…やるじゃねぇか!」
「い、いつの間にデッキに!?」
吉井と見城は嬉しがっていたが、基の方は穂村と同様に驚いていた。
「天神、俺がダークシンクロ使いといつから気づいていた!?」
「気づいたのは、《ゴーズ》が穂村先輩の場に出てからです。」
「なにぃ!?貴様、俺がダークシンクロ使いと知らずに《ミラーフォース》を入れていたのか!?」
「昨日の大庭君がダークシンクロとのデュエルを見てからデッキをいじりました。いつ自分もデュエルするか解らない、そう考えたらいてもたってもいられなくなりましてね。」
天神は基の方に振り向き、手を振る。天神は情報を教えてくれた基に感謝しており、基の方は天神が上手くやり過ごすことが出来た事にほっとしていた。
「なっ、大庭、天神は能力なんか無くても強いだろ!」
「ええ、まさか僕と栗原先輩のデュエルを見てからすぐに対策の入ったデッキを構築していたなんて。」
「天神さんはこういう抜け目の無い人ですからね。」
基は天神の行動力よりも、それ以上に見城と吉井の天神に寄せている信頼の方に強く感銘を受けていた。
思い起こせば、先ほどの《ゴーズ》の登場で穂村がダークシンクロ使いであることに見城と吉井は驚いていたが、天神の方を心配するといったことはしていなかったのだ。それほど、2人は天神を信頼しているのである。

「くっ!想定外だったが、まだデュエルは始まったばかりだ!俺はモンスターとカードをセットしてターンエンドだ!」(手札5→3)

(3ターン目)
穂村 龍一:LP5400、手札3
場:伏せ×1
場:伏せ×1

天神 美月:LP8000、手札2
場:《アテナ》(ATK2600)、《ライトロードマジシャン ライラ》(DEF200)
場:《神の居城−ヴァルハラ》


「私のターン、ドロー!《コーリングノヴァ》を召喚します。《アテナ》の効果で天使族モンスターが召喚された事により、穂村先輩に600ポイントダメージを与えます。」(手札3→2)


穂村 龍一 LP5400→LP4800


「さらに、《アテナ》の効果で《コーリングノヴァ》をリリースして、墓地の《堕天使スペルビア》を蘇生させます。」
「させるか!《禁じられた聖杯》を発動して、《アテナ》の効果を無効にする!」
《ライラ》の効果で墓地に落としていた《堕天使スペルビア》を蘇生させようとしていたが天神であったが、穂村の妨害により失敗する。穂村のモンスターは1体と、防御が薄い今が攻め時であったが、攻撃する駒が揃わなくなってしまう。
「穂村プロ、負けじと《アテナ》の効果を封じたぞぉ!天神会長、次はどうするのかぁ!?」

(今は《ライラ》は自身の効果で攻撃表示に出来ないわ。攻め手に欠けるけど、ここはダークシンクロ素材となるモンスターを除去しておくしかない!)
天神は厄介なダークシンクロモンスターを出される前にと穂村のセットモンスターを狙う事にする。
「バトル、《アテナ》でセットモンスターに攻撃!」
天神は《アテナ》に攻撃命令を下す。

だが、《アテナ》はピクリとも動かなかった。
「どうしたぁ!?天神会長の《アテナ》が攻撃をしかけないぞぉ!?これはデュエルディスクの故障かぁ!?」
「……はっ!?」
天神は不測の事態に一瞬だけ驚いたが、その原因の主に即座に気が着いた。天神の見つめる先には高らかに声を上げている穂村がいた。
「ふははははは!これぞ、俺の所持するダークシンクロモンスターの力だ!今の天神は攻撃力3000以上のモンスターで攻撃することができないデュエリスト能力、レベル−1“伝説殺し”になっているのだ!」


伝説殺し(レジェンドキラー)レベル−1能力
自分の攻撃力3000以上のモンスターは攻撃することができない。


攻撃力3000以上のモンスターの攻撃宣言を封じる能力、それが今の天神の能力になっていた。《禁じられた聖杯》の効果を受けていた《アテナ》の攻撃力は400ポイント上昇し、3000ポイントになっていたため、攻撃することが出来なかったのだ。
生徒達はデュエリスト能力など聞き慣れない言葉を耳にして、少し驚いていたが、デュエルを盛り上げるための演出の一つであろうと思いこんでいた。

「ここで攻撃を封じる能力が来るなんて…。」
「結構厄介な能力だな。天神、早くしねぇと、ダークシンクロが来ちまうぞ!」
「天神さん…。」
攻めることに失敗し、ダークシンクロモンスターの出現を吉井達は警戒し始める。天神はそれでも冷静に自分のプレイをする。
「私はカードを1枚伏せます。《ライラ》の効果でカードを墓地に送ってターンエンド。」(手札2→1)

(4ターン目)
穂村 龍一:LP4800、手札3
場:伏せ×1
場:

天神 美月:LP8000、手札1
場:《アテナ》(ATK2600)、《ライトロードマジシャン ライラ》(DEF200)
場:《神の居城−ヴァルハラ》、伏せ×1


「俺のターン、ドロー!さっきまでの借りを返させてもらおうか。《ライトロードハンター ライコウ》を反転召喚!その効果で《アテナ》を破壊し、自分のデッキから3枚カードを墓地に送る!」(手札3→4)


《アテナ》(破壊)


「《ライコウ》をリリースし、《ライトパルサー・ドラゴン》をアドバンス召喚!さらに、墓地の光属性モンスターの《ライコウ》と闇属性モンスターの《ゴーズ》をゲームから除外し、《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》を特殊召喚!」(手札4→2)
「で、出たぁ!!伝説のモンスター、《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》だぁ!!強力な二つの効果を内蔵し、さらにあの《青眼の白龍》と同等のステータスを持つ超強力なモンスターだぁ!!ここで穂村プロ、本気を出してきたかぁ!?」
「悪いな、天神よ。能力を失ったお前には少々やり過ぎかもしれんが、俺とてプロデュエリスト。勝ちに行かせてもらうぞ!《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》で《ライラ》に攻撃!」


《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》ATK3000→《ライトロードマジシャン ライラ》DEF200(破壊)


今度の穂村の攻撃は成功する。そして、それは、穂村の反撃の兆しとなった。
「《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》の効果、モンスターを戦闘で破壊したことによってもう一度攻撃することができる!《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》と《ライトパルサー・ドラゴン》でダイレクトアタック!!」


《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》ATK3000→(直接攻撃)

《ライトパルサー・ドラゴン》ATK2400→(直接攻撃)
天神 美月 LP8000→LP5000→LP2600


「ぐぅ!!」
「「「天神(さん)!!!」」」
天神のライフポイントが大きく削られ、吉井達は声を上げる。対して、周りの生徒達は穂村の攻撃成功に喜びの声を上げていた。
「穂村プロ、天神会長のライフポイントを大幅に削ったぁ!これは効いたかぁ!?」
ダメージを受け、よろつく天神であったが、なんとか体制を立てなおした。
「俺はカードを1枚セットして、ターンを終了する。さあ、この状況をどうする、天神!?」(手札2→1)

(5ターン目)
穂村 龍一:LP4800、手札1
場:《ライトパルサー・ドラゴン》ATK2400、《カオス・ソルジャー−開闢の使者−》ATK3000
場:伏せ×1

天神 美月:LP2600、手札1
場:
場:《神の居城−ヴァルハラ》、伏せ×1


続く
「決闘時空(デュエルスペース)第五話 Part4」へのコメント

By 千花 白龍
2012-11-24 19:00
むむむ、さすがプロ。ミラーフォースで迎撃されてもあっという間に反撃。
そして開闢の使者ではありませんか!終焉は禁止のままだけど…。お互い手札も減ってきて、そろそろ決着がつきそうですね。しかし、まだダークシンクロモンスターが出ていない。大勢の前でダークシンクロを見せるのはまずいと思って自重…してる訳ではなさそうですね。
このターンでライフ0に持ち込まないとダークシンクロされてしまう予感。アテナとスペルビアの展開力で反撃なるか?
pc
[編集]
By アッキー
2012-11-24 23:59
KCの規制で一般生徒はデュエリスト能力を知らない(知ってても詳しくない)状況。
楽しく盛り上がっている雰囲気の中で、事情を知る者たちは楽しめない。この疎外感。
けれど、読んでいる方からすれば、それが燃える。このシチュエーションは王道なり!

戦闘破壊することで喜ぶ穂村プロが切ないなぁ・・・。
しかもミラーフォースで返り討ちにされるという罠。
流石はVSシリーズの2で吉井くんのデッキから防御カードを借りていた天神さんだ!
何気にスペルビアも出てきて、私としても嬉しい限り。まだ蘇生のチャンスはある!

明かされた今回のマイナス能力“伝説殺し”。
−1というだけあって、さほど凶悪ではないですが、聖杯とのコンボが地味に厄介ですね。
早くも主導権を握られた状態ですが・・・。

ちなみに、天神さんを応援する一方で、穂村プロの攻撃成功にもカタルシスを感じる私です。
ダークシンクロの力とはいえ、望み(の一部)が果たせたことは喜ぶべきなのかもと思ったり。

それにしても、基くんがメイド服姿で混乱してると思うと私もう大興奮。
(アッキーの頭は既にアレなので、これ以上は悪くなりません!w)

pc
[編集]
By 呵々闘諍
2012-11-25 00:14
>千花 白龍さん
プロならもう少しミラーフォースに注意すべき、と言いたいところですが、過去の天神さんのデッキには入りようがないカードですから仕方ないですね。
昔は出したら勝ちみたいな開闢でしたが、天神さんはどう立ち向かうのか!?
ダークシンクロもその場の雰囲気でなんとかなりそうです。みんな楽しんでますから。

さて、天神さんの次の手は!?

pc
[編集]
By 呵々闘諍
2012-11-25 00:30
>アッキーさん
よくよく考えれば、大勢の前で天神さんがデュエルするのはマズいですよね。一応、イベントと言えば誤魔化せますし、何かあったらこう、生徒会権限で、ね?(笑)

天神さん相手にモンスターで戦闘できることってホントはすごいことなんですよね。カンサーシリーズはまさに敗者のためのカードであると思わされます。

天神さんも吉井君には及ばないものの、メタゲーマーとしてはレベル高いですからね。
スペルビアはアッキーさんの番外編の影響です!本編でも使ってたら恐ろしかったでしょうね…。

マイナス能力と言うか、ヴァンガード能力は基本そんなに強くないです。マイナスとかランクとか位はありますが、レベルEに近いので。

穂村さんの望みを叶えるミ・イザナちゃんマジ天使!
書いてて、結構悲しくなります。自分では面白おかしく書こうと思っても、暗い過去や現状にある人を馬鹿にするような書き方は胸が苦しくなるんで。それでも、みんなが笑顔でいられるエンディングを目指します!

もう基を着替えさせるのは無理なんじゃないかと思えてきました…(笑)
呵々「はよ、着替えろ。」
基「も、もしかしたら、見城さんはこういうの好きかもしれないじゃないですか!」
呵々「諦めろ。」
pc
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