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偽りの名 呵々闘諍の日記(力水の書いたやつ) 決闘時空まとめページ
2012-11-19(月)
決闘時空(デュエルスペース)第五話 Part3

決闘時空 第五話「作る者」Part3

職員室に向かうと、廊下には人だかりが出来ていた。おそらくプロデュエリストである穂村に会いに来た生徒達であろう。学園祭の準備期間のため、集まっている人数は五十人程であるが、どの生徒も穂村に会えるのを楽しみにしている様であった。
スランプとは言え、元翔武学園の生徒会のデュエリストである。彼に憧れて学園に入学した生徒達も少なからずいるのである。
「すみません、生徒会です。穂村さんに呼ばれているので通して下さい。」
吉井達はなんとか生徒達を掻き分けて何とか職員室の扉まで辿りつく。
「失礼します。」
天神は断ってから職員室の扉を開ける。扉を開けた先には学園の教頭と会話をしている穂村の姿があった。話の内容から、昔話をして懐かしがっている様であった。

「ああ、やっと来たか。」
「おお、生徒会の諸君ら、御苦労。さて、私は席を外すかね。」
生徒会メンバーが入って来たのを確認して教頭は自分の席に戻って行った。教え子達だけで話し合いをさせようと言う配慮であろうか、わざわざ教職員達は穂村達がいる場所の反対側の席に密集して移動していた。
「お久しぶりです、穂村先輩。穂村先輩が在学中の際にはご迷惑をかけてしまい、誠に申し訳ございませんでした。」
挨拶の初っ端から天神は頭を下げて謝罪をする。吉井達も一緒になって頭を下げた。
それを見て穂村はしばしの間黙っていたが、口元が緩み、その顔には笑顔が映っていた。
「ははっ、久しぶりだな、天神。そんなに頭は下げなくて良いぞ。それに、他の生徒会のみんなも顔を上げて良いんだぞ。って、どうぇええええええ!?」
穂村の了解を得て天神達が顔を上げる。上がった顔のメンツを見て穂村は動転する。
「どうしたんですか、穂村先輩?」
天神が尋ねると、穂村は一人を指差して、慌てふためいていた。
「な、ど、どうしたんだ、基!?その格好は!?」
「あ、お久しぶりです。この格好はその、学園祭の出し物でして…。」
「そ、そうなのか…。てっきりそっちの道に走ったのかと思ったぞ…。」
穂村が気にしていた人物は基だった。穂村は基がメイド服姿である事に動揺していたのである。どうやら二人の口ぶりから知り合いの様だ。
「なあ、大庭、穂村プロと知り合いなのか?」
「ええ、穂村先輩はプロになる前は僕のご近所さんでしたから。よくデュエルの相手とかしてもらいましたよ。」
「そうだったんですか。穂村プロとデュエルしていたなんて、なんだか羨ましいです。」
見城と吉井は穂村と面識は無かったものの、元生徒会のメンバーとして注目しており、プロリーグの内容のチェックもしているちょっとしたファンであった。
「ほう、俺を慕ってくれるファンがまだいたとはな…。」
穂村はこんな自分でも気にかけてくれる者達を目の当たりにして心が安らぐようであった。だがしかし、心の奥底ではどす黒いものが渦巻いていた。

「あの、穂村先輩。生徒会に、私に何の用事でしょうか?」
天神が穂村に呼びだした理由を聞くと、穂村は待ってましたと言わんばかりに笑みを濃くさせて、話す。
「よくぞ聞いてくれたな。最近、俺はプロリーグで活躍出来てないのは知っているだろう?」
「え、ええ…。」
「そこでだ!ここで天神、お前にリベンジを申し込む!」
「…っ!?私とデュエルすることと、穂村先輩のプロリーグとどう関係があるんでしょうか?」
穂村からの挑戦は、穂村のスランプと何の関わりも無いように思える。だが、穂村は話を続ける。
「今の俺は弱い。だからこそ、強いデュエリストであるお前と闘って己を鍛えたいのだ。」
「……なるほど、解りました。受けて立ちましょう。」
「なあ、天神、どういうことだ?」
天神は穂村からの挑戦理由を聞いて納得するが、見城は理解できていないようだった。そこで吉井が説明する。
「見城さん、穂村さんはプロデュエリストですよね?」
「ああ、そんなの解ってるって。プロなら他の強いデュエリストと闘えるからわざわざ天神に挑まなくても良いんじゃないか?」
「穂村さんはプロリーグに出ているんです。負けすぎればプロでいられなくなります。それに、プロは一般のデュエリストの大会にそう易々と参加は出来ないんですよ。そうなると、練習相手は知り合いしかいないんです。」
「そっか、プロ同士のデュエルだと戦績に響く、だから実力のある天神とデュエルしようってことか。」
吉井の話を聞いて見城は納得した。基は心の中で自分が教えてあげたかったと悔しがっていたが…。
「それだけではない。今は学園祭準備期間だ。ここで天神と俺の新旧生徒会がデュエルすれば盛り上がり、生徒達のメンバーのモチベーションも上がるだろう。どうですか、先生方?」
穂村の提案に教頭を始め、教員達は了承した。こうして、天神と穂村はデュエルする事となった。


デュエル会場は学園祭の準備でまだ使われていない校庭の中央グラウンドであった。
現生徒会の事実上の会長である天神と、元生徒会でプロデュエリストである穂村の対決と聞いて、グランドの周りには学園祭の準備をすっぽかして多くの生徒達が集まっていた。
「観戦のお供にジュースやお菓子はいかがですか〜?」
どさくさに紛れて売り子が周囲を練り歩いていた。売っている物はおそらく、学園祭の出し物である売店の物であろう。吉井や基は手回しの早い生徒を見て呆れてため息を吐いていた。
「おお、吉井、大庭。遅れてごめんな。混んじゃってよ。」
両手にジュースの缶とお菓子の袋を抱えた見城が二人の所に到着する。吉井と基はそれを見て顔を合わせて苦笑していた。
「ん?どうした?……お、始まるみたいぞ!」

「お待たせしました、みなさん!翔武学園元生徒会メンバーにして、プロデュエリスト、穂村 龍一プロと!現生徒会メンバーにして、生徒会長、天神 美月会長の対決だー!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
いつの間にか現れた実況者、放送委員の一人が二人の紹介をすると、生徒達の歓声が巻き起こる。見城もそれにつられて「おおおお!!」と叫んでいた。
天神と穂村はデュエルディスクを変形させる。変形させるのを見た実況者が再び声を上げる。
「さあ、勝つのは、旧生徒会の穂村プロか!?はたまた現生徒会の天神会長が意地を見せるのか!?デュエル、開始ィィ!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

「「デュエル!!」」

「先攻は、穂村プロだ!いったい、どんな手を見せてくるのかぁ!?」
デュエルディスクには先攻後攻を自動で決める機能があり、それによって穂村が先行となった。
※遊戯王ファイブディーズのワンポイントレッスンTurn103参照
「俺のターン、ドロー!まずは様子見だな。カードを1枚伏せて、ターン終了だ。」(手札5→6→5)

(1ターン目)
穂村 龍一:LP8000、手札5
場:
場:伏せ×1

天神 美月:LP8000、手札5
場:
場:


「おおっと、どうしたことだぁ?穂村プロ、モンスターを召喚せずにターンを明け渡したぞぉ?」
実況者を始め、周りにいる生徒達も戸惑い始める。手札事故を起こしたのだろうか、あれも戦略なのだろう、と様々な意見が飛び交っていた。
そんな中、吉井達だけは穂村の手を理解していた。
「天神には場に出たモンスターを強制的に手札に戻させるデュエリスト能力がある。モンスターを展開できないから魔法や罠で攻めて行くのが基本的な立ち振る舞い方になる。」
「そうですね、見城さん。天神さんを倒すのには魔法カードや罠カード、デュエリスト能力が中心になります。それに、穂村先輩の持っていたデュエリスト能力は相手に直接ダメージを与えたりする能力では無かったので、魔法や罠に頼るしかないです。」
穂村は現在20歳であるため、デュエリスト能力を消失している。詳しい年齢について基は知っていなかったが、天神には通用しない能力であると言う事は今までのデュエルしていた経験で解っていたため、天神への対抗策は限られていると思っていた。
「本当に、そうなんでしょうか…?」
だが、穂村のプレイングを見て吉井は違和感を抱いてた。天神の事を知っているのであれば、最初のターンの動きとしては静かすぎると思えたからだ。

「私のターン、ドロー。手札から《ヘカテリス》を墓地に捨てて《神の居城−ヴァルハラ》をデッキから手札に加えます。」(手札5→6)
「天神会長、ここで《ヴァルハラ》を手札に加えたぁ!これは上級モンスターの登場に期待出来るのではないでしょうかぁ?」
「《光の援軍》を発動、デッキの上から3枚を墓地に送って、《ライトロードマジシャン ライラ》を手札に加えます。続けて、《神の居城−ヴァルハラ》を発動。手札から《アテナ》を特殊召喚します。さらに《ライラ》を召喚!《ライラ》の効果、守備表示にして伏せカードを破壊します!」(手札6→3)


《ダメージ・ダイエット》(破壊)

穂村とは対象的に天神は手札のカードを次々と使っていく。穂村の伏せていたカードを破壊し、攻撃の準備を整えた。
「バトル、《アテナ》でダイレクトアタック!」


《アテナ》ATK2600→(直接攻撃)

穂村 龍一 LP8000→LP5400


「なっ!?」
天神は目を見開く。《アテナ》のダイレクトアタックは成功した。だがしかし、目の前にはイレギュラーが映っていた。
《冥府の使者ゴーズ》、穂村の場に、存在できないはずのモンスターが立っていた。

続く
「決闘時空(デュエルスペース)第五話 Part3」へのコメント

By 千花 白龍
2012-11-19 21:01
ついに始まりました…。まだ穏やかな穂村プロですが、いずれ遊戯王の伝統である、デュエル中に気分が高ぶって人格変貌⇒顔芸+暴言になるんですね…。(←暴走させないと言っているのに…。)
モンスターが召喚された。これはデュエリスト能力が封じられたことに他ならない。こうなったらプロの方が有利か。
pc
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By アッキー
2012-11-19 22:54
やっぱメイド服に動揺しますよねーwww
私も動揺し、興奮しましたから。人間として当然のことなのです。
(一緒にするなという穂村プロの声が聞こえてきそうだw)

今回もマイナス能力とダークシンクロが出てくるそうですが、はてさて。
《ダメージ・ダイエット》を発動しなかったあたり、何だか不気味ですね。
単にカイエンのステータスを上げることが狙いななんてことはないはず・・・。

それはそれとして、楽しく盛り上がっている雰囲気は良いものですね。
代行でも会長として違和感ゼロな天神さん。
売り子や実況解説が、いい味出してるわ・・・。
こういう雰囲気がホームグラウンドの見城さん。
そして、基くんがメイド服で観戦してるのだと思うと、更に気分が盛り上がります。(←おい)

pc
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By 呵々闘諍
2012-11-20 00:04
>千花 白龍さん
>伝統の顔芸について
天神さんと穂村さんのデュエル始動!顔芸や暴言はしないと言いつつ、そこまで期待されると書こうか揺らぎます(笑)
私は暴走キャラ大好きですからね。

>封じられた能力
能力を封じられたデュエリストのほとんどは不利になりましたね。ただ、前回の吉井君や見城さんからの発言からして、天神さんがそう簡単に追い詰められるかどうか…。
pc
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By 呵々闘諍
2012-11-20 00:15
>アッキーさん
>メイドデュエリスト基ちゃん
穂村さんは興奮はしてません(きっぱり)

>ダイエットの話
(やべぇ、単にカイエンの攻撃力を上げるために発動しなかったって言えない雰囲気じゃん…。)
い、一応、わざとダメージを受けています。
そもそも、ダメージ対策なら《ダメージ・ダイエット》以外にも良いカードはありますからね。裏があるウラ。

>楽しい雰囲気
天神さんは実質生徒会長ですからね。鷹野さんは犠牲になったのだ…。

決闘時空では、殺伐とした雰囲気ではなく、例えどんな相手でもほんわかやっていきたいと思ってます。たまにはシリアス休みも肝心!

そういえば、基着替えてませんね…。
そろそろ着替えさせなきゃまずいことになりそう…(アッキーさんへの悪影響的な意味で(笑))
pc
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