異・戦国史

妄想掃き溜め専用地下室





2008-11-12(水)
Dそこに居る会いにいく


「三斎。お前目が見えぬのか?」

「おい其処は壁だぞ。…ったく、危なっかしい…。」

「父上、行って参ります。大丈夫ですよ、僕は父上の息子ですから!」


俺のことを想ってくれていた者に俺は何か返せていただろうか。

今となっては分からない…。

光を失ったこの目では、相手の表情さえ見ることが出来ないのだから。


誰も俺のことを責めはしない。
何故だ?

俺が一番想いを寄せていた相手はもういない。
彼女に何か与えたか?

沢山の命の散る様を見届けた。
何時まで生きているんだ?


疑問は尽きない。
独りでいるとどうも物思いに耽ってしまう。
これが老いと言うものか、と皺だらけの手を己の前にかざし、何か掴もうとしてゆっくりと握り締める。

急に体中の力が抜け、ぱたりと力なく落ちた。


「―……た……ま…。」


酷く渇いた唇が紡ぐ言葉は


(今から行くよ、君は望まないかもしれないけれど)
細川忠興

配布元→夜風にまたがるニルバーナ

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