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紅い彼岸の戦い〜長い夜〜
By 親方
2007-02-05 00:39:04
また長編になりました……すみませんm(__)m
N902i
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By 親方
2007-02-05 00:42:40
確かに酒盛りをしていた。しかし家臣達には、
『祝い酒だけにしておきなさい』と言っていた。

珍しい事もあるものだ。と家臣達は思ったが(そろそろ幽々子様の勘が知らせているのか)と思い緊張を感じていた。
そしてついに忍びの妖夢が帰って来た。

幽々『どう?相手に動きはありそう?』
妖夢『夜討ではなく早朝を待っての大戦になりそうです。』
幽々『なぜなの?』
妖夢『鎌など、草を切り開く支度をしていました。』彼岸花を切り、静かに側面に回って朝を待つのだろう。
幽々『妖夢、明日の天気はどう?』

妖夢は空を見上げ、湿気を嗅ぎ取るような仕草をした。
妖夢『今夜から明朝は冷え込み、霧が立ちこめて参ります。』
幽々『それでいつ晴れるの?』
妖夢『辰の上刻(午前七時)頃には。』

よしっ、と小さく呟き藍・小町や各隊の頭を呼び集めた。

メルラン『幽々子様、いよいよ合戦ですか!』メルランが嬉しそうに言った。
小町『そんな大声を出すと間者に聞こえるぞ。』と制し、リリカは
リリカ『私達の陣に入り込んで来る間者がいたらお目にかかりたいわ♪』
と、やり取りをした。

幽々子は皆に明朝戦を仕掛けてくること、しかし相手がレミリアである以上敵陣に待機する別の軍勢がある事。企みを外すために夜明けより前に相手の側に近づく。と、結論だけ言った。
幽々子を信じて、誰一人質問した者はいなかった。

しばらくして妖夢が帰ってきて『敵の軍勢がこちらに向かい始めました』と伝令をつたえて、幽々子は陣屋を出て扇子を扇ぎ舞い始めた。

「ハラソウギャテイ ホウジイ ソワカ」
(彼岸に完く往ける者よ、悟りよ、弥栄)
と呟き陣を動かした……

N902i
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By 親方
2007-02-05 00:44:41
美鈴『急げ!急がないと間に合わないわ!』
と声を忍びつつ行進をせかしていた。
道は狭く、彼岸花が思いのほか高く伸びていた為、行軍が遅かった。

亡霊軍の移動は迅速であった。霧で行軍が遅くなると思われたが、何人もの忍びを放っていたので安全な行軍が出来たのだった。

その時、霧の中からこそこそと小さな鼠のように妖夢が表れた。
幽々子の周りの者は、思わずざわめいた。妖夢が皆の前に姿を表すのはこれが初めてだった。

妖夢『レミリアの軍勢、これより半里ばかり南東の方に陣をかまえてます。』
幽々『よく探り当てたわね…その傷はどうしたの?』妖夢の頬が割れて血がしたたっていた。
妖夢『今そこで敵の忍びを一人斬ってまいりました。』
幽々子は少し笑みを見せ進軍の列に向き直った
幽々『たった今より軍を回すわよ。敵は南東。しくじらないように!』

うなじの毛が逆立つ。次第に明るんでゆくるり色の空が、天空の楽を奏でるかのように声なき声で導きかける。霧は少しずつではあるが薄れ始めた。


空は刻々と明るくなっていた。レミリアは用意された椅子の上で微動だにせずしていたが、不安はつのっていた。
そろそろ美鈴から報告の物見が来るはずだが一人も戻って来ない。
―やっぱり使えないわね…とうとうレミリアは椅子を離れて数人の物見を走らせようとしたが……


N902i
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