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「河の流れのように(惇蒙)」
広大な国土を見渡せる丘で、二人は並び立つ。
眼下に悠々と流れる大河の先を見つめ、夏侯惇は隣の呂蒙の肩に手を回し引き寄せた。

「このまま…大河を渡り海の彼方までお前を連れ去りたい…と言ったらどうする?呂蒙」
突然の言葉に面食らう呂蒙にたいして、言葉と表情は思いがけず真剣な夏侯惇を見上げた。
「全てを捨てて、か?、俺はそんな無責任な男に付いて行く気はないぞ」
暫し考え、呂蒙も誤魔化す事はせず正直に答えた。すると夏侯惇は予想していたのか微かに笑い、頷いた。
「ふっ…、そうだな」
「そうだぞ、今のままで俺は満ち足りているのだ、夏侯惇」
「色々と面倒な柵を背負っても尚、今が満足と言い切れる…お前は強いな」
共にある事で満ち足りると、変わらぬ穏やかな笑みで告げられれば、それ以上求められなくなる。
揺るぎない自己の責務を担う覚悟。
一人の男として、愛欲とは別に尊く慈しみたいと思う相手を抱き寄せ、軟らかくなびく呂蒙の髪から頬へ、そして唇に口付ける。
そんな夏侯惇からの触れ合いに、穏やかに身を預ける呂蒙は満ち足りる時を愛おしく思うのだった。

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