赤い糸
☆☆
孔明さんを挟んで俺の挨拶が終われば食事が始まる。
彗星「よぉ。」
目の前に安斎さんが徳利を掲げて座る。
俺は正に好物の納豆を練っていたので固まってしまう。
彗星「祝いの席で納豆かよ。」
クックッと喉の奥で笑う安斎さんに溜め息をついて、酌をしてもらい一口で飲んだ。
龍之介「納豆は体に良いんすよ。」
俺の言葉に更に笑う安斎さん。
だが、何故か秀道会の面々や長谷組の組長さんまで驚いた顔で安斎さんを見ているのは気のせいか。
孔明「へぇ。安斎、龍之介の事を気にいってんのか?お前が嘲笑う事以外で笑うとこ始めてみたわ。」
俺は横で親父と此方を見ていた孔明さんの言葉にギョッとする。
俺は逆に、悪戯小僧の様な含み笑いしか見てないのですが。
俺が安斎さんに視線を戻せばニヤリと笑った。
彗星「えぇ。こんだけ別嬪で、男気がある。
気に入らねぇ奴がいるなら見てみてぇすよ。」
龍之介「べ、別嬪…。」
俺の呟きが聞こえたのか更に楽しそうに笑う。
彗星「なんだぁ?そのなりで自覚してねぇのか?」
龍之介「いえ、短いなりにあの学園に居たんでそれなりの顔だとは自覚したんすけど、別嬪という言葉に反応してしまっただけです。」
俺の返しに声をあげて笑った安斎さん。
悪いが、俺は楽しくない。
後ろにいたアキとサキがすぐ後ろに近付いて座るのが解った。
二人を見た安斎さんの笑みが深まった。だが、目が笑ってない。
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