在世界一號,
4
目の前で響が絡まれてる。
読んで字のごとく、絡まれている。
「なぁなぁお前名前なんて言うんだ!?あっちなみに俺は天野柚だ!柚って呼んでくれていいからな!」
「俺は今田響ー。よろしくねぇ。」
「響か!よろしくな!!」
本名を教えなかったことに少しだけ安堵する俺。
シィァンって名前を教えたら、響の中でそいつは『割と大事な人』に分類されたってことだからな。
ものすごくわかりやすい。
「響!そんな無理して笑うなよ!」
「あー…うん、ありがとう。」
「どういたしまして!!」
おい柚、お前、響の顔見てなかったのか?
あいつが眉しかめるだけじゃない不快そうな顔するなんてそうそうないんだぞ。
自己紹介と、親切という名のお節介を押し付けて満足したらしい柚は、
ご機嫌そうな雰囲気で副会長のいるソファへと帰っていった。
「ねぇ彬ー、あの子誰よー?」
…うん、そりゃそうなるよな。
彬、と下の名前を呼んでくれたことに少し喜びながら、
先ほどまでより不機嫌さを滲ませた声にまた柚が嫌いになった。
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