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ヤキモチ †未央様リク(大石夢)
私、名前は今、すっごくイライラしています。



原因は私の彼氏である『秀』こと大石秀一郎がモテモテなこと。



そりゃあカッコイイし、優しいし、モテるのは分かるんだけど、彼女の私にしたら面白くない訳ですよ。





朝教室。

「おはよう、名前」

『あ、おはよ』

「相変わらずモテるねぇ君の彼氏は」

こう話すのは名前の友達の諒。

『本当だよ』

そう言って大石の方を見る名前だが、すぐに視線を元に戻す。

その表情はどこか寂しげだ。

「名前〜そんな顔しないで?ホラ、泣きたい時はウチの胸貸してあげるから」

『うん。殴るよ?グーで』

「ごめんなさい冗談です許してください」

諒の冗談で名前に少し笑顔が戻る。

「うーん。これはアレだな。今日部活終わってからマックで作戦会議を開かなきゃだな!」

『作戦会議ぃ?何で?』

「何でも!いいね?」

『う、うん』





部活終了後。マック

「と、いう訳でこれより第一回作戦会議を開きたいと思います」

張り切っている諒だが不満げな人が約2名。

「諒先輩、ちょっと質問〜」

「ん?何、桃?」

「どーして俺と越前が参加させられてるんスか?」

「あぁ、それはね、君達にしか出来ない仕事があるからさ!」

「ならどーして海堂先輩はいないんですか?」

「だって薫ちゃん演技とか下手そうなんだもん」

「言えてるなぁ、言えてるよ」

『海堂君に失礼だよ。君達』

そんなこんなで、話し合いは進んでいく。

『うーん…あんまいい案が浮かばないねぇ…』

「じゃあいっそのこと大石先輩にヤキモチ妬かせるってのはどーッスか?」

「そうだね。それが1番無難だわ」

「じゃあ俺達は部活中名前先輩に話しかけまくるんでクラスでは諒先輩お願いするッス!」

「まっかせなさーい!じゃあそろそろ帰ろうか」

話がまとまり、それぞれ家路に着く。





次の日。教室

『はぁ。諒はああ言ってたけど、本当に上手く行くのかなぁ?』

名前が独り言を言っていると諒が現れる。

「上手くいくって!そのためにも今日から名前は大石と話すの禁止!!」

『えぇ!?』

ショックを受ける名前だがそんなことを気にもせず諒は話を続ける。

「名前が大石と話しちゃったら焼きもち妬かせる意味ないじゃん!分かった?」

『う、うん…』

名前はしぶしぶ承諾する。





部活中。

「名前先輩、球だし付き合って下さいよ」

『リョーマ。うん、いいy――』

「ちょっと待った、越前。名前先輩は俺の球だしに付き合って貰う」

「俺の方が先なんですけど」

「こうゆう時は普通先輩に譲らなきゃいけねぇなぁ、いけねぇよ」

「納得いかないッス。結局桃先輩が名前先輩と一緒にいたいだけじゃないッスか」

「そういうお前だって…だろ?」

「なら、テニスで決着付けようよ」

「臨むところだ!」

こんなやりとりを見ていた菊丸は慌てて大石に話し掛ける。

「ちょっとちょっと大石!どうなってるのアレ?」

「アレ?何のことだい?」

「桃とおチビが名前を取り合ってるよ?」

菊丸にそう言われて名前の方を見る。

が、すぐに何も無かったかのように口を開く。

「さぁ、練習するぞ。英二」

「はにゃ!?放っておいていい訳?あのままじゃ名前取られちゃうよ?」

「英二が気にすることじゃないだろう?これは俺の問題なんだから。分かったら早く練習、練習」

そう言って大石はラケットを握り直す。

菊丸はというと大石の異変に気付いたのかこう呟く。

「大石、無理してる…」





そんな日々を繰り返し、はや三日が過ぎた。

が、大石の態度に変化は見られない。

逆に、名前の方が精神的にも疲れきっていた。

『はぁ、諒に言われて今までやってきたけどさぁ、何にも変わらないじゃん…』

部室に響く名前の声。

というのもみんなが名前に仕事を押し付けて帰ってしまったからだ。

『(せめて河村さん。いや、秀が手伝ってくれても…)』

そんなことを思いながら再びため息をつく。

そしてポツリと呟く。

『あーあ、秀はヤキモチ、妬いてくれないのかな?』

そう呟いた直後、ガチャという音と共に部室のドアが開く。

「誰がヤキモチ妬いてないって?」

『え?し、秀?』

そこにいたのはラケットバックを肩にかけた状態の大石。

つかつかと歩み寄ってくるとぐいっと名前の腕を掴み寄せる。

『ちょっ、いたi――』

腕の痛みを訴えようとしたが、名前の唇は何かによって塞がれる。

『んっ』

突然のことに頭が回らない名前に構わず、腕を掴んでいた手がいつの間にか腰に回され、もぅ片方は名前の後頭部に回される。

『ちょっ、…しゅ』

唇を合わすだけのキスから次第にもっと深いものへと変わり、名前は段々力が抜けていく。





何分か経ち、ようやく互いの唇が離れる。

と、次の瞬間名前は大石に強く抱きしめられていた。

『…し、秀?』

おそるおそる名前を呼ぶが返事は返って来ない。

『ねぇ、秀?』

もう一度名前を呼ぶ。

すると大石がやっと口を開く。

「…ヤキモチ、妬かない訳ないだろ?」

ふぅっとため息をつきながら大石は続ける。

「名前、最近俺より他の男子と話してるし、部活だと桃や越前とばっか話してるし。気が狂いそうだった…」

初めて聞く大石の本音に名前は思わず笑ってしまう。

「何笑ってんだ?」

『おあいこ』

「何が?」

『あのね、今回の事は全部お芝居だったの』

「…え?」

『だから…』

そういって大石に全てを話す。

自分がヤキモチを妬いていたこと。

それを相談したら今回の芝居をすることになったこと。

「何だよ。そういう事か…」

大石はうなだれる。

『うん、ごめんね?』

「いや、俺も名前が妬いてたことに気付けなかったし…おあいこだな」

そして二人で笑いあう。

『秀、大好きだよ』

「あぁ。俺も名前の事大好きだよ」

どちらともなく二人は唇を合わせる。

そしてまた二人で笑い合う。





幸せ一杯の二人がこれからもずっとずっと幸せでありますように……



END



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あきゅろす。
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