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じゃんけん †鏡月様リク(岳人甘夢)
私には幼なじみがいる。



そいつの名前は向日岳人。



ちなみに私はこの男にジャンケンで勝った記憶がありません。



最後に勝った記憶は幼稚舎の頃?





「名前っ♪」

満面の笑み、そして猫撫で声で岳人が話し掛ける。

「なーなー名前、宿題写させてー♪」

『はぁ!?どうしてアンタに見せなきゃいけないの!?』

「何だよーケチーくそくそ名前」

頬をぷぅっと膨らませて言う岳人に、名前は軽くため息を付く。

『ケチとかそーゆー問題じゃなくてね…』

「っじゃーアレだ、ジャンケンしょう!!俺が勝ったら見してもらうってことで」

『いや、訳分かんないんだけど』

「いいじゃん。名前が俺に勝てば何の問題も無いんだから。…それとも俺に負けるのが怖い??」

『コワイ!?私が!?』

“怖い”その単語に反応する名前。

まんまと岳人の策にハマっていることにも気付いていない。

「そうだろ!?いいんだぜー?怖いならやらなくたって」

『べ、別に怖くなんてなぃし。やってやろうじゃん』

「負けてからの三回勝負ってのはナシだかんな」

『言わないよ、そんなこと』

「よっし!!じゃあ行くぞぉ。じゃーんけーん…」

『「ぽん!!」』

『…あ』

名前はチョキ、岳人はグーを出している。

「やりぃ!!俺の勝っちー♪」

『負けた…』

「約束通り宿題見して♪」

『しょうがないなぁ』

しぶしぶ岳人に宿題を見せる。

と、そこに岳人のダブルスパートナーの忍足が現れる。

「相変わらず自分ら仲えぇなぁ」

『まっさか。忍足、アンタの目はフシアナ!?ドコをどう見たら仲良く見える訳!?』

「ちゃうん?」

「いーや、俺と名前は仲良しだぜ!?なー名前♪」

そぅ言って岳人は名前に抱き着く。

『離れろ。セクハラで訴えるよ?そして私とアンタは仲良くない!!あえて言うなら腐れ縁だ!!』

「何だよ、運命♪とか思えねぇ訳!?可愛くねぇの」

『アンタに可愛く思われなくても結構ですぅー。ジロちゃんは可愛いって言ってくれたもん』

「なっ!?ジローの奴名前にそんなこと言ってやがるのか?」

『うん。お嫁さんに来てほしいCって言われちゃった!いいでしょ?』

「………」

名前が嬉しそうに言うと岳人は無言になる。

『岳人?無言になっちゃってどしたの?』

「…のかよ」

岳人が下を向きながらボソッと呟く。

しかしその声は小さすぎて名前は聞き取ることが出来ない。

『何?』

「名前はジローと結婚すんのかよっ!?」

『はぁ!?』

「っあーもう名前なんか知らね!!勝手にジローと結婚でもしてろ!!」

そう言い残し岳人は教室を出る。

『はぁぁ!?何アレ!?ちょっと忍足、どーなってんの!?説明なさい!?』

岳人の態度が気に入らなかったのか名前は半ギレ状態で忍足に説明を求める。

「俺に言われても困るんやけど。せやなぁ…ガキのヤキモチとでも言っておくわ」

『いやいや、説明になってないよね!?分かるように説明しなさい!』

「…鈍いな、自分」

そう言い忍足は自分の席へと戻る。

『はぁ!?』

残された名前は頭に?マークをのせるしかないのだった。





放課後

『ったく何なの?アイツは!?アレから話し掛けてもシカトするし!!岳人の分際で』

大きい独り言を言いながら名前は教室を出る。

その足は自然とテニスコートへと向かう。

そこには先客・つまりテニス部の熱烈なファンで埋めつくされていた。

「跡部様ぁー」

「キャーかっこいー」

そんな黄色い声を聞きながら名前は無意識のうちに岳人の姿を探す。

「もっと飛んでミソ?」

「キャー!がっくんー」

「可愛いー」

岳人の人気も相当なものだ。さすがテニス部。

『(岳人モテモテ…?あんな奴のどこがいい訳?)』

そんなことを思いながら帰ろうと一歩足を踏み出すと、フェンスを挟んで声をかけられる。

「名前じゃん。何しに来たんだ?」

いつの間に来たのか。

そこにいたのは向日岳人。

『別に!ちょっと来てみただけですぐ帰るし!』

そういって今度こそ帰ろうと歩き出す。

と、また後ろから声をかけられる。

「その…悪かったな、さっき」

名前が振り向くと岳人は罰の悪い顔をして横を向いていた。

『さっきって?あぁ、ジロちゃんの事話した時?』

「あぁ」

『…ヤキモチでも妬いたの?』

「うるせぇ、そんなんじゃねぇよ!」

『何さ!?妬いたって言ってくれてもいいじゃん!もう私帰る!』

再び口論となり、気分を害した名前はくるっと背を向け校門に向かって歩きだす。

「〜!妬いたんだょ!気付けよクソクソ名前」

『え!?』

名前が再び振り向くと岳人は赤い顔をしていた。

「今日一緒に帰りたいから部活終わるの待ってろよ!絶対待ってろよ!」

そう言い残し岳人は練習へと戻る。

『な、によ。それ(///)』

名前の顔も真っ赤だ。





部活終了後テニスコート付近。

「待ったか?」

『うん。でも練習見てたから楽しかったよ?』

「ならいい。帰るゼ?」

日も沈み、薄暗い道を二人で歩く。

『あ!』

急に名前が声を上げる。

「どうした?」

『ジュース飲みたい!岳人!奢って!』

「やだ!」

『いいじゃん!部活終わるの待っててやったんだから買ってよ!』

「だって金ねーし」

『じゃあジャンケンで勝負だ!』

ジャンケンという単語を出した瞬間、岳人はニヤリと笑う。

「名前、俺にジャンケンで勝てんのか?」

『やってみなきゃわかんないじゃん!じゃーんけーん…』

『「ぽん」』

朝と同様、名前はチョキで岳人はグーを出している。

「よっしゃ!!」

『…私、ジャンケンめちゃくちゃ弱い?』

名前が凹んでいると岳人が口を開く。

「名前、知ってた?」

『何を?』

「お前、じゃんけんする時、必ずチョキから出すの」

『知らない…いつから?』

「俺が名前のこと好きになる、ずーっと前から」

岳人は真っ赤な顔を見られないように、名前の少し前を歩く。

『え………?今、何て言った??』

「名前のこと好きって言った。っつか返事は?」

『…私も岳人が好きです(///)』

「まじでか!!」

岳人はくるっと振り向く。

「何?俺達両思い!?凄くね?」

『凄いのかな?』

「すっげーって!!ミラクルじゃん!?」

岳人ははしゃいでピョンピョン跳ねる。

『あんま跳ねないのー』

笑う名前だが、次の瞬間何も言えなくなる。

『っ(///)』

それは岳人にキスされたから。

「アハハ、名前顔真っ赤ぁー」

『何すん――』

突然のことに文句を言おうとするがそれは岳人の口付けによって遮られる。

『ふっ、…ん』

それは先程の唇が触れる程度のものとは違い、もっともっと深いもの。

『が、く……と』

ようやく唇が離れる。

「名前その顔チョー色っぽい!襲っていい?」

『なっ!?死ねっ(///)』
名前はズンズン歩き出す。

「あ、ちょっ、待てよ!」

慌てて走りだし、名前の手を握る。

『…このエロガッパ』

「何だよ、それだけ名前を愛してるってことだろ?まぁ近い未来、襲うだろうから今日は我慢してやるよ」

『はぁ!?』

「…だから早く俺に溺れて?」

『なっ(///)』

耳元で囁く。

そのまま首筋に口付け、チュッと音をたてる。

「期限はこの痕が消えるまで!」

『はぁ?っつかアンタ今、痕付けた?』

「名前は俺のもんだから手ぇ出すなっつースタンプ!」

にっこり笑う岳人。

痕を押さえ真っ赤になる名前。



二人の恋は始まったまだばかり。





END



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