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 戦ってどうなるわけでもない。けれど、それしかないような気がした。それに……

本を持ち上げた感触が、まだ残っている。
恋、と呼ぶ感情があるなら、まさしくこれだった。
ドキドキと高鳴って震えている。

振りかざすだけなのに、どうして、こんなに、忘れられないのだろうか。
「フィルの力を借りなくても、平気だよ、戦うって辛いんだから」

メイルは困ったように笑う。

「私みたいに、なにもかも身軽じゃなきゃ、苦しむだけだから」

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あきゅろす。
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