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幻滅デイリー
変態と、ぼく2
「馬鹿!」
ぼくは、彼の頬を強かに打ち据えた。乾いた音が響き、辺りにいた人々が一斉に注目する。だが、今はそんな些細な事に構っていられない。
「痛いなぁ、もう」
強く叩き過ぎたか、彼の口の端からは血が滲んでいた。しかし、痛がる素振りなどは一切見せなかった。それが、ぼくの怒りを更に誘う。
「知るか!」
ぷい、と踵を返す。知るもんか、あいつなんか。

………

「お前、何で叩かれてんだよ。あいつの事、好きなんだろ。何で、わざわざ怒らせる事なんか」
すると、男は友人の口を手で塞いだ。
「君は、解らないだろうね。今の彼は、俺に怒っている。つまり、今の彼の感情は全て俺の物なんだよ。考えてみろよ、ゾクゾクするじゃないか」
友人は眉間に皺を寄せ、男をどつく。そして、幾らかの距離を取った。
「お前、ヤバいわマジ」
「好きな人の為なら、どうにでもなれるものさ」
「そんな形してマゾか、お前!」
うげぇ、と喉元を押さえて呻く友人に笑う男。
「彼がサドなら、マゾにもなるさ」
「Your crazy!」
友人は両手を挙げた。

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あきゅろす。
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