幻滅デイリー 不良優等生 素行編 未だ、少女は騒いでいた。 「わたし、不良だもん! 不良なんだもん!」 「ああ、はいはい」 だが、皆勤賞間違いなしで、素行も至って真面目な彼女を誰が不良と呼ぶだろうか。どう見ても、強がっているだけじゃないか。 「タバコとか、アルコールは?」 本来の不良ならば、少しは手を付けているはずだと駄目元で訊く。 「先生は?」 「俺は吸うし、飲むぞ。それも、かなりの量。第一、成人だしな」 すると、じわりと涙を浮かべる彼女。 「ど、どうした?」 「駄目だよ、癌になっちゃうよ!」 「いきなりなるわけじゃないだろ……」 馬鹿なのか、秀才なのか解らなくなってきた。 「でも、確率は上がるんだよ。あ、でも、先生そしたら凄い沢山税金払ってるんだよね。あざーっす!」 ズコッ、とコケそうになる。何か、ペースを掴みにくいな。 「じゃあ、先生にはシガレットチョコあげるね。疲れた時に、甘い物は脳の働きを助けてくれるんだよ」 「ああ、それ確かによく聞くな」 何で、そんな豆知識まで……。っていうか、シガレットチョコでタバコを我慢しろというニュアンスか。本当に、彼女は解らない。[続] [戻][進] |