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幻滅デイリー
死亡予想図6
 家内もなかなか、可愛いところがあるものだと考えながら出勤する。自分がもしも死んだらどうする、なんて簡単には訊けないはずだ。その時は咄嗟に、「困るから、死ぬな」と言ってしまったが。まあ、女という奴は仕事と自分のどちらを選ぶと言った時に全く違う解答を言わせたいと聞いた事もあるし。

「どうしようと解らないし、困らないだろう」
「……は?」
呆気にとられ、ぽかんと口を開けてしまう。初期従業員の一人である弟の何と、無関心な事だろうか。
「だからさ、つまり兄貴が死んだらそこに兄貴はいないだろ。となると、俺がどうしようと関係の無い事じゃんか」
「ま、まあ、そうだよな……」
弟にしてみれば、当然の事だ。ましてや、死後の世界など微塵も信じようとしない彼の事。何の不思議も無い話だ。
「他に、質問は?」
「あ、ありましぇん」
まるで、金八先生の様な口調になってしまった。何と言うか、家内より手厳しいじゃないか。

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あきゅろす。
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