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幻滅デイリー
嘘八百万
 父はよく「もう、千年以上生きているんだから歴史なんか解るさ」と言う。

 父は嘘つきで、ぼくも嘘つきだ。嘘つき親子。

 父は必ず有名人の側にいた様で、まるで見てきたかの様に歴史上の人物を語る。卑弥呼や厩戸皇子、清少納言や紫式部、安倍晴明や出雲の阿国など挙げ始めれば切りがない。

 しかし、そんな父は今文明の利器に振り回されている。携帯電話は受けとる事しかしないし、メールを打てば例え三行半だろうと三十分。絵文字を眺めるのは、好きらしい。パソコンは、見ていると目眩がするそうだ。

 けれども、かなりの天才肌である。三百倍の確率だった高校に、平然と受かってしまうのだから当然かと思う。どこか抜けている様な気もする、がそれも愛嬌だ。

 どうやら、次は仙人になりたいらしい。実はぼくも、高校生の頃に仙人になりたかったのだが。霞を食って、踵から呼吸するぜみたいなね。不老不死とか、最高。
 見た目だけは三十代なので、それは合格だと思う。実年齢は五十三だしね、結婚式の写真から全く両親共々顔が変わっていないというのは、ある意味恐怖だ。

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