幻滅デイリー 理系彼氏と文系彼女 「お前、少し太ったな」 彼氏の一言に、唖然とする彼女。しかし、彼は彼女を全く見ていない。むしろ、医学書から目を離そうとしなかった。 「……やっぱり、そうかな……」 「あぁ」 間髪を入れずの返事に、項垂れる。女にとって、『太る』や『デブ』的な単語は禁句である。 「夏も近いもんね……」 「あぁ」 「何か、パッと痩せる手立てって無いのかな? 簡単で、すぐに効果が現れる感じの……」 その一言を聞いて、彼はパタと本を閉じた。 「あるぞ。簡単で、しかも楽。おまけに、効果は三日で現れる優れ物だ」 ニヤリ、と口元だけで笑う。 「え? 何? 何? 何なの? 教えて!」 彼の顔を覗き込む様に、せがむ彼女。ふふ、と彼はなおも笑う。 「んもう、勿体振らないでったら!」 「いや、勿体振ってなんかいないぞ」 何処から取り出したか、彼は彼女の両手首と両足首を縄で縛り上げた。 「え、やだ! 何するのよ! バカバカ!」 「煩い」 一蹴すると、彼女を暗室に放り込んだ。 「知ってるか? 人間は三日間飲まず食わずで暗室に閉じ込められると、体内で栄養素を作れなくなる。まぁ、自然と痩せるわけだ。三日後を楽しみにしている」 「この、人でなしーーーッ!」 [戻][進] |