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幻滅デイリー
ぼくたち男の子
 日本の代表的な古典作品とも言える『源氏物語』を取り上げる際、国語教師の顔は大抵輝いているものである。
「まあ、日本も昔は一夫多妻制だったからね。しかも、通い婚の形を取っていたし、奥さん同士も互いに解っていたから。何というか、オープンな面もあったんだろう」
すると、一人の男子生徒がニヤニヤとしていた。何だ、と気になった教師は生徒を指名する。
「松山くん、どうかしたかい?」
「だって、先生! 現代の事として考えたら、クラスの半分の女子二十人は軽く全員が俺の奥さんって事じゃん」
「……君は、何を考えているんだい」
はあ、と溜め息をつく教師。クラスに、妙な雰囲気が蔓延する。
「良いな、光源氏は」
「ま、まあ、今年は『源氏物語』が書かれてから一千年記念の年になっているそうだから。皆も興味があったら、展示会にでも足を運んでみて」
女子生徒からは、「光源氏って、最悪じゃん」との声が漏れていた。
「まあ、あれだ。光源氏も身分と雅やかさがあったからこそ、色々出来たわけでね。先生や君達が簡単に、そういった事は出来ないんだね」
あはは、と教師は笑っていたが授業としてはグダグダで収拾もつかなかったのは言うまでもない。

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あきゅろす。
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