幻滅デイリー 六月の蛍雪 「……ほーたーるのーひーかーり、まどのゆーきー……」 自転車に乗りながら、卒業シーズンでも無いのに口ずさんでしまう。夕方の陽射しは優しく、そして荒々しく肌を貫く。 「……ふーみーよむ、つーきーひ……」 夕方、黄昏は嫌いだ。ノスタルジーを感じ、つい哀しくなってしまう。 「……かーさーねーつーつー……」 変わっていく街並み。経営出来ぬ店舗は潰れ、新しい大手チェーン店が敷地を奪っていく。 「……いーつーしかーとーしーも、すーぎーのとをー……」 下校する義務教育生を見ては、微笑する。 「……あーけーてぞーけーさーは……」 彼らは別れを、まだ知らない。 「……わーかーれーつーつー……」 [戻][進] |