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幻滅デイリー
霊障の日々
 春先にも関わらず、寒さで目を覚ます。けれども、目を覚ましたのは寒さのせいだけでは無い。体にのしかかる重さに耐え切れず、瞼をゆるゆると開ける。きっと、家内の腕か足が乗っているのだろう。そうならば、布団の中に規律良く戻してやろうと首を動かす。すると、彼女は布団の中で姿勢良くすやすやと寝息を立てて眠っていた。
「んん……?」
あれ? じゃあ、この重みは何だ。首を戻すと、そこには何も無かった。ただ、重みがあるだけ。きっと、疲れているのだろう。電光掲示式の時計を見れば、まだ午前三時だ。もう、一眠りすれば良い。そうして、再び瞼を閉じる。

──シャッ、シャッシャッ、シャッ……。

思わず、クワッと瞼を開く。カーテンを素早く開閉する音に、恐怖を覚える。家内は寝ているし、この部屋には俺と彼女以外に誰もいない。
「何なんだよ……、もう……ッ!」
恐る恐る見れば、やはり誰もいない。そして、バッと布団を剥がされる。その衝撃に身を縮こませると、ピシャッと叩かれた。その後は、覚えていない。

 翌日の朝、家内に訊けば「知らないわよ、寝ぼけただけでしょ」と冷たくあしらわれた。息子に訊けば、「知るか」と言われてしまった。一体、あれは何だったのだろうか。俺には、解らない。

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あきゅろす。
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