幻滅デイリー 留守電UFO怪談? 「留守電が入っていたのよ」 「ぼくは、先輩の携帯電話には電話をかけていません。それに、留守電も入れていません」 「知っているわよ」 大学の食堂で向かい合って座る男女──先輩と後輩の間柄なのだろう──は、一台の携帯電話を指差しながら言い争っていた。 「取り敢えず、聴いてみなさいよッ!」 「はあ……」 青年は目の前に出され、仕方なさそうに携帯電話を耳へと近付ける。 「………」 「どう……?」 「誠に言いづらいのですが、何も入っていない様です」 冷静過ぎる──いや、冷たい眼差しで携帯電話を返却する青年。 「嘘よ! 入っているでしょう! 表示不可能ってやつで!」 カチカチカチ、とキィを押す仕草をしてから顔を青くさせる女性。それに対して、ふふッと笑う青年。 「無い、わ……」 「でしょう? まあ、謗りはしませんよ。先輩はきっと、夢でも見たのでしょう」 席を立つ青年の腕を取る女性は、まくし立てる様に言う。 「だって、変な電波音とか! 叫び声も入っていたのよ!」 「はいはい、解りました解りました。人が見ていますから、落ち着いて下さい」 「バカバカバカ! 分からず屋! わたしが、もしUFOに掠われたらどうするのよ!」 「先輩、UFOなんて存在しないんです」 青年は、女性を突き放した。 [戻][進] |